Zoom Communications, Inc.ZM

時価総額
$270.8億
PER
ビデオ会議プラットフォームの米国最大手。ミーティング、電話、コンタクトセンター、AIアシスタントを展開。2023年4月に従業員向けプラットフォームを$221.8Mで買収。米国中心で世界展開、翻訳字幕35言語対応。

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企業概況
114文字)
業績概況
テーマ
2項目)
ブランド
3項目)
ライバル企業
5社)
同業種の日本企業
1社)

事業内容

Zoom Communications, Inc.はビデオ会議を中核に、音声通話、チャット、ドキュメント共有を一つのプラットフォームで提供する企業です。主力サービスにはZoom MeetingsやZoom Phone、Team Chat、Zoom Docsがあり、近年はAIアシスタント「Zoom AI Companion」を組み込んだAIファーストの作業環境に注力しています。

同社の顧客は個人利用から中小企業、大企業、教育機関やイベント主催者まで幅広く、カスタマーサービス部門向けの導入も進んでいます。収益は主にサブスクリプションと有料のアドオン(電話、コンタクトセンター、ウェビナー、会議室ソリューションなど)から成り、無料利用者を有料に誘導するフリーミアムモデルと直販・チャネル販売を組み合わせて拡大しています。

事業面では、従業員の働き方を支えるZoom Workplaceと、顧客対応を強化するビジネス向けサービス(コンタクトセンターやイベント、収益支援ツールなど)を統合したプラットフォームを展開しています。さらにAPIや開発キット、アプリマーケットで開発者エコシステムを育て、翻訳・字幕や強化されたセキュリティ機能で国際展開と大口顧客の導入に対応しています。

経営方針

同社は安定した成長と収益性の向上を目指しています。直近の連結売上高は2025年会計年度で約46.65億ドル、2024年は45.27億ドル、2023年は43.93億ドルで、年率約3.1%の増収が続いています。2025年の純利益は約10.10億ドル、営業活動による純キャッシュは約19.45億ドルと健全な資金創出力も確保しており、現預金と有価証券の残高は約78億ドルあります。こうした財務基盤を背景に、同社は企業向け顧客の収益拡大や、高単価顧客(過去12か月で10万ドル超を貢献する顧客)を増やすことを重点目標としています。

同社は製品と販売双方への重点投資で差別化を図っています。新規顧客獲得では無料プランのウィルス的な拡散を活用しつつ、直接営業やオンラインチャネル、販売代理店や戦略的パートナーを組み合わせた複数経路の営業を強化しており、営業・マーケティング人材の採用と育成に投資しています。製品面では従業員体験、顧客体験、コア通信、生成型人工知能(AI)、業種別ソリューションを中心に重点化しており、ビデオ会議や電話、コンタクトセンターなどを一体化したプラットフォームで「使いやすさ」と「コスト効果」、およびセキュリティ(例:エンドツーエンド暗号化のポスト量子対応)を差別化要素としています。

同社は新市場の開拓と事業拡大を積極的に進めています。国際展開は重要施策で、アジア太平洋と欧州・中東・アフリカでの売上比率は合計で約28%前後(2025会計年度は28.2%)を占め、現地の販売パートナーやデータセンター設置、現地語対応(会議の自動翻訳や35言語以上の翻訳字幕)で市場浸透を図っています。既存顧客への「ランド・アンド・エクスパンド」(一部部門から全社展開へ)戦略も継続しており、Zoom Contact CenterやZoom Phone、Zoom Revenue Acceleratorなどの追加サービス提供や、2023年にWorkvivoを約2.22億ドルで買収するなどのM&Aも成長手段として活用しています。

同社は技術革新、特にAIを核にした開発に注力しています。2023年9月に発表した「AI Companion」をはじめ、個人の生産性向上やチームの共同作業を支援するAI機能をプラットフォームに組み込み、エンジニアリソースの一部を顧客要望に即した機能開発に割り当てています。また開発者向けのAPIやソフトウェア開発キット、アプリマーケット(約2,900のアプリ)を通じたエコシステム拡大で他社との差別化を図り、信頼性・プライバシー・内部統制の強化(外部監査の実施)も並行して進めています。