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Willdan Group, Inc.WLDN
事業内容
Willdan Group, Inc.は公益事業者や自治体向けにエネルギーとインフラ分野の技術・コンサルティングサービスを提供する企業です。同社はエネルギー効率化、温室効果ガス削減、再生可能エネルギーの計画や設計、プログラム管理、政策助言、ソフトウェアやデータ管理といった分野で、計画から実行まで一貫した支援を行っています。
同社の主要顧客は州や市の公共機関、電力・ガスなどの公益事業者で、ロサンゼルス水道電力局やコン・エジソンのような大手事業者も顧客に含みます。収益は契約形態に応じて発生し、直近では時間・材料が約18%、ユニット(出来高)型が約40%、固定価格型が約42%を占め、上位顧客への依存がある収益構造です。
同社は事業を主に「エネルギー部門」と「エンジニアリング/コンサルティング部門」に分けて展開しています。エネルギー部門が省エネプログラムや運用サービス、ソフトウェアやデータ管理を中心に売上の大部分を占め、エンジニアリング側は設計、施工管理、検査や政策支援などの専門的サービスを提供しており、公共セクターに特化した総合的なサービスラインを持っています。
経営方針
同社は事業拡大を主眼に、買収を成長の主要手段と位置づけています。具体的には事業領域を補完する企業や技術力、地理的プレゼンスを拡大する買収を継続する方針で、直近ではAPGの取得に最大4,350万ドル(初回現金支払1,950万ドル、株式6.0百万ドル相当、業績連動で最大1,800万ドル)を投じ、Alphaを現金1,200万ドルと自社株で買収しました。こうしたM&Aにより短期的に受注と収益を押し上げ、四半期ごとの契約収入も2023年比で増加していることから、同社は買収と既存事業の拡大で安定的なトップライン成長を目指しています。ただし、買収は信用契約での債務制約や統合リスクに左右されるため、財務と統合管理の両面で慎重に進めています。
重点投資分野は電力・エネルギー領域とエンジニアリング・コンサルティングで、特に公共ユーティリティや政府機関向けのエネルギー効率化、温室効果ガス削減、インフラ設計・管理に資源を集中しています。契約形態は固定価格42%、単位当たり請求40%、タイム&マテリアル18%とバランスを取りつつ、多くの公共機関が採用する「資格重視選定(QBS)」への対応力を差別化要因としており、技術力や実績、納期管理を強みに競争しています。同社は居住用市場を概ね除外し、公共・ユーティリティ領域に特化することで入札競争での優位性を確保しようとしています。
新市場開拓と事業拡大の計画は、買収を通じた横展開と州別の進出によって進められています。直近の買収ではAPGをエネルギー部門へ、Alphaをエンジニアリング&コンサルティング部門へ組み込み、APGやEnicaの事業統合を通じてEV充電やマイクログリッドなど成長領域に速やかに参入しています。将来的な州レベルでの拡大に伴い法規制や許認可対応の負荷も増えるため、同社は内部管理システムやコンプライアンス体制の強化、キーマンの確保によって拡大に伴うリスクを抑制する計画です。
技術革新への取り組みでは、買収先の技術を取り込むことで実践的な能力を強化する戦略を取っています。APGが持つEV充電、太陽光、AIデータセンター向け電力、バッテリー型蓄電(BESS)やマイクログリッドの設計・施工能力を自社サービスに組み入れ、ソフトウェアやデータ管理、プログラム運営の技術と組み合わせることでトータルソリューションを提供する方針です。同社はまた人材確保や業績連動の株式報酬により技術者を引き留め、COSO基準に基づく内部統制の有効性を維持することで、技術投資の効果を確実に事業成果につなげることを目指しています。