VARONIS SYSTEMS INCVRNS

時価総額
$37.2億
PER
企業データ保護ソフトの大手。データセキュリティプラットフォームやAI脅威検知、自動化されたデータ分類機能を備えたSaaSとオンプレミス製品群を展開。2014年2月のNASDAQ上場や2024年8月のIPR&D資産6,500ドルでの取得などの資本イベント。米国・欧州を中心に95カ国以上で展開。

事業内容

Varonis Systems Incは、企業が保有するファイルやメール、クラウドアプリなどのデータを発見・分類し、不正な利用や内部脅威を検知して対処するデータセキュリティのプラットフォームを提供しています。主力製品は「Varonis Data Security Platform」で、アクセス状況の可視化や異常検知、コンプライアンス対応を支援する機能を備えています。

同社の顧客は金融、医療、製造、公共機関などの大企業が中心で、95カ国以上に導入実績があります。収益は契約期間に基づくサブスクリプション(オンプレの期間ライセンスやクラウド型のSaaS)、および保守・サポート料とプロフェッショナルサービスから成り、最近はクラウド化に伴いサブスクリプション比率が高まっています。

事業は製品群ごとに、データ発見・分類、アクセス管理、脅威検知・対応、プライバシーや保持ルールの支援といった機能ラインに分かれています。販売はチャネルパートナー経由が中心で、技術サポートや導入支援の有償サービスも提供し、近年はクラウド対応やAIを活用したセキュリティ強化に注力しています。

経営方針

同社はSaaS(クラウド型サービス)への本格的な移行を通じて収益基盤の拡大を目指しています。直近の業績では2024年の総収益が約5億5,510万ドルで前年度比約10%増加し、SaaS売上は2023年の4,440万ドルから2024年に2億88万ドルへと大幅に拡大しました。年間契約換算収益(ARR)は2024年末で約6億4,190万ドルとなり、前年から約18%の増加を示しており、同社はこれらのKPIを成長の指標としてSaaS比率のさらなる上昇を目指しています。

同社は研究開発と営業体制への投資を優先し、製品差別化を図ることを目指しています。具体的にはデータを発見・分類し、アクセス権や振る舞いを自動で検出・是正する統合プラットフォームを強みとしており、幅広いデータ保存場所やアプリケーションをカバーする点で競合との差別化を図っています。販売はチャネルパートナー経由が中心で、パートナーが実質的にほとんどの売上を担っているため、同社はパートナー教育や共同マーケティングに注力するとともに、2024年末時点で従業員・協力者が約2,406名いる体制を強化して営業力を高めようとしています。ただし、投資に伴い研究開発・営業費用が増え、2024年の営業損失は約1億1,770万ドル、純損失は約9,580万ドルと、利益化に向けた先行投資が続いている点も事実です。

同社は国内の未開拓領域と国際市場の拡大を成長戦略の重要な柱としています。収益の地域比率は2024年に米国が約73%、EMEAが約21%、その他地域が約6%であり、今後は特にEMEAやその他の海外市場でローカルな営業リーダーやチャネルの獲得・維持に注力する計画です。加えて既存顧客への追加販売(アップセル)や契約更新を重視しており、ARRを高めるために自動化やクラウド化により顧客当たりの生涯価値を高める施策を進めています。

技術革新ではクラウド対応の拡充、分類能力の強化、AIを使ったセキュリティや内部不正検知の導入に注力しています。同社は情報セキュリティ体制を整備しており、最高情報セキュリティ責任者(CISO)を中心にインシデント対応計画を運用しています。また、将来の機能強化のために外部の研究開発資産を取得する投資も行っており(2024年には約6,653ドル相当を研究開発費として計上)、プロフェッショナルサービスの自動化による費用効率化や、製品品質を維持したままスケールするための内部管理体制の強化も並行して進めています。