VALERO ENERGY CORPVLO

時価総額
$509.6億
PER
精製・燃料販売の大手。再生可能ディーゼルやエタノール製造を展開。従業員9,922人(2024年12月31日)、2024年2月22日発表の自社株買い枠25億ドルが存在。米国・カナダ・英国・メキシコ・ペルー中心に展開。

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企業概況
102文字)
業績概況
テーマ
2項目)
ブランド
ライバル企業
2社)
同業種の日本企業
1社)

事業内容

VALERO ENERGY CORPは米国を拠点とする大手の精製・燃料供給会社で、原油を処理してガソリン、ディーゼル、航空燃料、アスファルトなどの燃料・製品を製造・販売しています。同社はエタノールや再生ディーゼルなどの低炭素燃料の生産にも取り組み、製品供給とトレーディングの機能を通じて市場に供給しています。

同社の主要な顧客は燃料卸売業者やガソリンスタンド、トラックや航空会社といった大量需要を持つ事業者で、これらへの大量販売が収益の大部分を占めています。また、エタノールの副産物である乾燥穀物(DDGs)などは飼料市場や海外市場にも販売しており、精製マージン、再生燃料の販売、トレーディング収益が収益構造の柱になっています。

事業は大きく精製、再生燃料、卸売・トレーディング、物流・端末運営に分かれており、精製部門が売上の中心です。同社は北米や欧州の精製所と輸送・貯蔵ネットワークを活用して供給を行い、再生ディーゼルや航空燃料向けの低炭素プロジェクトにも積極的に投資しています。

経営方針

同社は信頼性の高い低コスト運営を基盤に、低炭素燃料への拡大を通じた安定成長を目指しています。2024年は世界的な燃料需要の安定に支えられ、純利益として28億ドルを計上しました。株主還元と資本効率の向上も重要な柱と位置づけており、取締役会は2024年に合計で50億ドル(2.5億ドル×2件)の自社株買い枠を承認し、同年第4四半期には約206万株を平均127.96ドルで買い戻すなど、具体的な現金還元を実行しています。

同社は再生可能ディーゼルやエタノールなどの低炭素製品、既存精製能力の効率化、物流最適化に重点投資をしています。差別化点としては、大規模な精製・製造設備を複数国に保有し「安定稼働で単位当たりのコストを下げる」運営を強みにしていることです。安全・人材面にも投資を続けており、従業員数は9,922人でそのうち1,771人が労働協約の対象です。安全指標としては精製所従業員のTRIRが0.16、請負業者が0.25、Tier 1プロセス安全事象率が0.04といった具体的な数値を公表しており、運転の安定性と安全管理が競争力の源泉になっています。

新市場開拓や事業拡大では、合弁による再生可能ディーゼル事業(例:Diamond Green Dieselを含む)や、持続可能航空燃料(SAF)や炭素回収・貯留のような低炭素プロジェクトの検討・推進を行っています。農業副産物の販売など既存製品の販路拡大にも注力しており、DDG(乾燥蒸留穀物)については米国、メキシコ、アジア向けの顧客に販売する流通網を確立しています。一方で、原料の大部分は外部調達に依存しているため、供給契約や物流の強化を通じて原料安定化とコスト管理を進める具体策を講じています。

技術革新については、情報セキュリティやプロセスのデジタル化、安全管理の高度化に重点を置いています。企業全体の情報セキュリティプログラムとインシデント対応計画(準備、検知・分析、封じ込め、根絶、通知、復旧、報告、教訓の取り込み)を整備し、週次/月次で専門委員会が監督する体制を敷いています。さらに年次の侵入試験や机上演習、外部専門家の活用を通じて実務的な備えを強化し、2024年には汎用・生成型AIのリスクと機会を評価する社内横断チームを設置するなど、新技術の適用と安全性確保を両立させる取り組みを進めています。