TYLER TECHNOLOGIES INCTYL

時価総額
$197.1億
PER
公共セクター向けソフトウェアの最大手。SaaS型の自治体向け基幹システムや電子納付・eファイリングを展開。2023年にAI関連や予算ソフトなど3件を総額約73百万ドルで買収。米国全50州、カナダ、英国、オーストラリアで展開。

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企業概況
108文字)
業績概況
テーマ
1項目)
ブランド
ライバル企業
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同業種の日本企業
1社)

事業内容

Tyler Technologies Inc. は、主に自治体や教育機関、裁判所や公共安全機関向けに業務用ソフトウェアと関連サービスを提供する企業です。 同社はクラウド型のサブスクリプションやオンプレミスのライセンス、オンライン決済や電子書類提出といったデジタル政府サービス、導入・研修・保守などのプロフェッショナルサービスを組み合わせて提供しています。

同社の主要顧客は市町村、郡、州、学校区、連邦機関、裁判所や警察・矯正施設などの公共セクターで、収益はサブスクリプション(SaaS)と保守・サポートが中心です。 取引手数料やオンライン決済、導入に伴うプロフェッショナルサービスも収入源となり、ソフトウェアライセンスやハードウェアは売上の数%にとどまります。

事業は複数の製品群に分かれており、固定資産税や登記を扱うProperty & Recording、許認可管理のRegulatory、裁判所・公共安全向けのCorrections/Courts & Justice/Public Safety、K–12向けの学校向けERPや通学バス管理、保健・福祉向けの環境保健や障害・給付管理などを展開しています。 同社は製品ラインの拡充とクラウド移行を戦略の柱に据え、買収と自社開発で機能を広げています。

経営方針

同社は売上と利益の持続的な成長を有機的成長を軸に、必要に応じて選択的な買収で補強する方針を掲げています。直近決算ではサブスクリプション収入が全体の62.8%を占め、サブスクリプション総額は約13.4億ドル、サース(SaaS)収入は前年から22%増の約6.4億ドルとなるなど、定常的な繰返し収入を重視するモデルへシフトしています。経営資源の確保や機動的な成長投資のために最大7億ドルの回転型クレジット枠を設定するなど、資金面の余地も確保しています。

同社は投入する重点分野として公共部門向けの幅広い業務領域に投資し、これを差別化要因としています。具体的には不動産税・記録管理、裁判・治安、K-12教育、保健・福祉向けの統合ソフトを提供し、細かな政府業務の知見を製品とサービスに反映することで「プレミアムな」供給者としての地位を築いています。研究開発費は売上比で約5.5%を占め、製品改良やクラウド対応、導入支援や現地でのトレーニングといった付随サービスにより顧客満足と離脱率低下を図っています。

事業拡大の計画としては既存顧客の深耕と地域展開を両輪にしています。既存顧客には未利用機能のクロスセルを進める一方で、より大きな自治体や国際市場への販売拡大を目指し、営業人員の増強やソリューション別のマーケティング投資を行っています。加えて買収による技術・商圏の補強も継続しており、2023年は予算ソフトのResourceX(約1,630万ドル)、AIによるフィールド業務のARInspect(約2,050万ドル)、裁判関連の自動化ツールCSI(約3,620万ドル)を取得し、2025年1月にも約1,850万ドルの現金買収を完了しています。

技術革新では2019年以降「クラウド優先(クラウドファースト)」の方針に転換し、自社データセンターからAmazon Web Services上へのホスティング移行を進めるなど、SaaS提供の最適化に注力しています。加えて人工知能・機械学習の能力を外部買収で補い、裁判書類の自動索引・抹消や現場業務のAI支援といった機能を製品に統合することで業務効率化を図っており、トランザクション型の電子決済やe‑ファイリングと組み合わせたクラウド型サービスの拡充を具体的施策として進めています。