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Toast, Inc.TOST
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事業内容
Toast, Inc.は主に飲食店向けのクラウド型業務プラットフォームを提供する企業で、レジ端末や決済サービス、オンライン注文、バックオフィス機能を一体化した製品が主力です。同社は店舗向けの端末とクラウドソフトを組み合わせ、導入支援やリモート・現地のサポートを通じて現場の運用を簡素化しています。
主要な顧客は個人経営の小規模店から多店舗チェーン、さらに一部の食品・飲料小売業まで広がります。同社の収益の柱は定額のソフト利用料、決済手数料、ハードウェア販売、導入・サポート収入で、契約期間は多くが12〜36か月で継続的な更新に依存しています。
事業は大きくレジと決済、オンライン注文・配達連携、従業員管理・給与、在庫や売上分析、顧客向けのポイントやギフト機能などの製品ラインに分かれます。同社は現場に強い営業と顧客成功チーム、200を超える連携パートナーでエコシステムを拡大し、国際展開や小売分野への拡張にも取り組んでいます。
経営方針
同社は成長に向けて既存顧客の深耕と新規顧客の獲得を両輪で進めることを目指しています。直近の通期売上は2024年に49.6億ドルで前年から約28%成長しており、米国のレストラン導入数は約15%に達すると見積もっています。収益モデルはサブスクリプション中心で契約期間は通常12〜36か月のため、更新率向上とモジュール追加による顧客あたり売上の拡大が成長の鍵です。一方で配当は行わず内部留保を成長投資に充てる方針で、株主還元としては最大2.5億ドルの自社株買い枠を設定(2024年は5600万ドルを実行)している点も資本政策上の特徴です。
同社は差別化の柱として「一元化されたクラウド型プラットフォーム」を掲げ、ソフトウェア、決済(金融技術)、ハードウェアを統合して提供することで競合の個別ソリューションと差をつけようとしています。顧客サポートにも重点を置き、年中無休の多チャネル対応やオンサイト/リモート/セルフガイドの導入支援を整備し、導入から運用まで単一窓口で対応することを強みとしています。加えて200を超えるパートナー連携を通じて機能エコシステムを広げており、これらを通じて顧客の業務効率化と追加販売を狙っています。運営効率化のため、2024年2月に実施したリストラクチャリングで経費の最適化も図っています。
同社は新市場開拓として国際展開と小売などの新たな垂直市場への拡大を目指しています。フード&ビバレッジ小売への応用や企業・ミッドマーケット向けの営業強化に向け、販売と研究開発に小規模ながら投資を行っており、選択的なM&Aも成長手段として位置づけています。実際、ドライブスルー向け表示装置を手掛ける企業を買収し(約1000万ドル)、クイックサービス向け製品群を拡充したように、有望な技術や製品を取り込むことでアドレス可能市場を広げる戦略です。また、ハードウェア発注義務が約6500万ドル、クラウドや他ベンダーとの契約が約1.85億ドルといった設備・契約面の投資も、事業拡大の受け皿を整えるための具体的施策です。
同社は技術革新を事業成長の基盤と位置づけ、製品開発体制をグローバルに整備しています。プロダクトマネジメント、開発、データ分析、デザインを一体化したフルスタック開発チームを北米・欧州・アジアに配置し、顧客データを活用した機能拡張や新サービス創出を進めています。さらに、クラウド基盤の信頼性・セキュリティ強化や内部の情報連携基盤整備に継続投資することで、大量トランザクションや新機能導入時の安定稼働を確保しようとしています。同社はこのような技術投資を通じてプラットフォームの一体化とスケーラビリティを高め、顧客の長期利用とクロスセルを促進することを目指しています。