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SS&C Technologies Holdings IncSSNC
事業内容
SS&C Technologies Holdings Incは、金融業界と医療業界向けに業務を自動化するソフトウェアとそれを軸にした運用サービスを提供する企業です。同社は投資管理やファンド事務、取引から会計・報告に至る幅広い業務をソフトと人的サービスを組み合わせて支援しています。
顧客は大手の資産運用会社、年金、ヘッジファンド、銀行や保険会社、医療関連事業者などで、上位10社で売上の約15%、単一顧客は5%未満です。同社はソフトウェアの利用料や保守契約に加え、運用代行などの継続的なサービス収入が中心で、こうした契約ベースの反復収入が収益の安定性を支えています。2024年は約27%の売上を北米以外で稼ぎ、国際展開を拡大しています。
事業はソフトウェア製品とソフトウェアを使ったサービスに大別され、運用管理、ファンド管理、取引・決済、会計・報告、照合や規制対応、医療の請求処理などを提供しています。同社は業務の自動化やクラウドサービスを強化し、買収によって機能と顧客基盤を広げており、Blue PrismやAdventなどの大型買収で自動化力や投資管理領域を一層強化しています。
経営方針
同社は成長に向け、ソフトウエアと「ソフトウエアを軸にしたサービス(software-enabled services)」の拡大を軸に収益の拡大とマージン改善を目指しています。直近では2024年の売上において北米以外の顧客が占める比率は27%であり、ソフトウエアを軸にしたサービス売上は2022年の約42.7億ドルから2024年には約48.4億ドルに拡大しました。同社はこれらの契約型で安定的な再現収入を強みに、エンドツーエンドの付加価値の高いソリューションでプレミアム価格設定を実現し、運用レバレッジと自動化によるマージン拡大を図ることを目指しています。
重点投資分野としては、研究開発と業務の自動化に集中しています。2024年度の研究開発費は約5.18億ドル、資本化したソフトウエア投資は約1.94億ドルに達しており、多職種チームによる定期的な製品改良(年度中に主要製品の大型リリースを行うことが通例)で差別化を図っています。併せて人手作業の削減や業務効率化のために、ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)分野のBlue Prism買収の技術を取り込み、従来の会計や処理業務の自動化を進めて付加価値サービスとして提供することで競合との差をつけています。
新市場開拓と事業拡大では、特に国際展開と既存顧客への深掘りを重視しています。同社は北米外の売上比率を高めるために国際拠点の強化を進めており、アジア太平洋地域の売上は過去3年間で18.4%増加し2024年には3.058億ドルに達しました。買収戦略も成長の中核で、1995年以降で67件の買収実績があり、Battea(2024年9月、約6.71億ドル)やBlue Prism(2022年3月、約16.45億ドル)などの事例を通じて市場や顧客基盤、知的財産を獲得し、既存の営業網でクロスセルすることで短期的に収益化する方針です。
技術革新への取り組みは、製品開発・エンジニアリング投資と実務への技術適用の両面で進められています。個別製品の品質管理と全社的な製品統合計画を整備し、マーケティングやサポートと密接に連携して市場ニーズを取り込む体制を整えています。さらに、クラウドネイティブなプラットフォーム開発やRPAの活用によりサービス提供の自動化を進め、人的コストを変動費化するとともに、より高い付加価値を提供して収益性を高めることを目指しています。