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- SIMON PROPERTY GROUP INC.
SIMON PROPERTY GROUP INC.SPG
事業内容
SIMON PROPERTY GROUP INCは、米国を中心に大型商業施設の所有・開発・運営を手がける不動産会社です。主にショッピングモール、プレミアムアウトレット、The Millsと呼ばれる大型複合施設を展開し、店舗や飲食・娯楽の入居者を集めて集客しています。
同社の主要顧客は小売店やレストラン、娯楽施設などのテナントで、収益の中心は賃料収入です。賃料は固定の最低賃料や共用部費の按分に加え、テナント売上に応じた変動部分があり、管理手数料や駐車場・広告などの副次的な収入もあります。
同社は事業を国内外のモール、アウトレット、複合開発の運営・再開発・拡張に集約しており、物件の価値向上を図る投資を行っています。あわせて敷地周辺の土地売却や施設運営サービス、デジタルやマーケティング領域での取り組み、共同出資や戦略的投資を通じたプラットフォーム事業も展開しています。
経営方針
同社は安定的な利益成長とキャッシュ創出を重視した成長戦略を掲げています。具体的には、運用中の資産の収益性を高めるために大規模な再開発や拡張を実行し、新規開発は市場の需給が不足していると判断した場所に限定して行っています。運用上の主要指標としてFFO(資金ベースの利益)やNOI(純営業収益)を重視し、投資判断や業績評価の基準に用いています。2024年は希薄化後1株当たり利益が7.26ドルに増加するなど基礎業績が改善したことを踏まえ、配当は年間8.10ドルを支払い、株主還元も継続しています。
同社は重点投資分野として既存大型商業施設の再開発とプレミアムアウトレットなど付加価値の高い物件に資本を配分しています。現在着工中の新規開発・再開発案件の総費用は約13億ドルで、同社負担の完了までの残り資金は約5.52億ドルと報告されています。投資判断では、すべての新規開発・再開発案件で投下資本に対する安定的なリターン8〜10%を目標にしており、収益性の高いテナント誘致、マーケティングやデジタル媒体を使った集客施策で差別化を図っています。2024年の資本支出は新規開発75百万ドル、再開発・拡張321百万ドル、テナント支援191百万ドル、運営資本169百万ドルの合計756百万ドルでした。
資本構成と海外展開については、成長を支えるために「資本を創出する」「公私双方の多様な資金調達手段を確保する」「投資適格格付けを維持する」という三本柱の戦略を採っています。同社は5.0億ドルの無担保リボルビング・クレジット枠と3.5億ドルの追加枠、さらに20億ドル相当のコマーシャル・ペーパー枠を運用し、2024年末時点でクレジット枠からの借入は約323.7百万ドルでした。国際戦略は既存の現地パートナーと協調して進め、現地通貨借入を活用して為替リスクを抑える方針で、国際事業は2024年の連結純利益の約5.4%、NOIの約9.0%を占めています。最近のM&A・資産取得では、2025年1月にイタリアの高級アウトレット2件を取得するなど選択的な拡大を継続しています。
技術革新とリスク管理面では、サイバーセキュリティとデジタル施策に投資しています。サイバー対策はNISTフレームワークとCIS制御を用いたリスクベースの運用を行い、専任のインシデント対応チームと対応計画を整備しており、テナント側システムは各社管理である点も明示しています。顧客集客や補助収益の柱としては、自社で運営するECプラットフォーム(shop.simon.com)やデジタル広告、イベント運営を活用し、物理店舗とオンラインを組み合わせた収益機会を拡大しています。