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SYNOPSYS INCSNPS
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事業内容
SYNOPSYS INCは半導体や電子機器の設計を支援するソフトウェアと設計用IP、そして一部ハードウェアを提供する企業です。同社は回路設計や機能検証を支援する設計自動化(EDA)ツールと、チップ設計でそのまま使えるIPブロックを主力に事業を展開しています。
主要な顧客は半導体メーカーや電子システム開発会社で、大口顧客が売上のかなりの割合を占める構図になっています。同社の収益は大きくEDA、設計IP、その他(教育プログラムや光学製品など)に分かれ、ソフトはライセンスやサブスクリプション、ハードは販売やリース、加えて保守やコンサルなどの継続収入で成り立っています。
事業は主にDesign Automation(EDA)とDesign IPの二本柱で、前者はデジタル・アナログ回路の設計支援、検証ツール、FPGAやエミュレーションなどのハードを含み、近年はクラウドやAIを活用したソリューションにも注力しています。後者はインターフェース、基盤機能、セキュリティ、組み込みプロセッサなどのIP群とその実装支援を扱い、同社は技術サポートや研修、オンラインのナレッジポータルを通じて顧客の設計効率向上を支援しています。
経営方針
同社は成長と株主価値の向上を両立することを目指しています。実際に2024会計年度は前年度比で売上が約15%増加しており、製品と地域を横断して顧客基盤を拡大しています。株主還元では2022年に15億ドルの自社株買い枠を設定し、2024年10月31日時点で約1.94億ドルが残っていましたが、買収に伴う想定債務水準を低減するまでは買戻しを停止すると明示しています。時価総額は2024年第2四半期基準で約675億ドル、発行済み株式数は2024年12月16日時点で154,578,449株です。
同社は電子設計自動化(EDA)と設計用ライブラリ(Design IP)への重点投資を行い、これらを差別化の軸としています。具体的には、インターフェースやセキュリティ、組み込みプロセッサなどのIP製品群を強化するとともに、人工知能(AI)を活用した設計効率化やクラウド対応の設計ツールに投資しています。差別化策としては製品群の統合性と相互運用性、手厚い顧客サポート(SolvNetポータルや研修)の提供、エミュレーションやプロトタイピングといったハードウェア製品のラインナップ拡充を挙げており、営業・マーケティング費用は2024会計年度で8億5930万ドル(売上比約14%)に増加しています。
同社は買収を通じた新市場開拓と事業の横展開を重視しています。注力例としては、買収予定のAnsysを通じてシステム解析やメカトロニクス領域へ本格参入する計画があり、これにより設計から解析までの上流・下流をつなぐプラットフォーム構築を目指しています。ただしM&Aに伴う費用は無視できず、2024会計年度の一般管理費増加にはAnsys買収関連の法務・コンサル費用が1億3520万ドル上乗せされたことが影響しています。短期的には買収資金と財務健全性のバランスを優先し、自社株買いの一時停止や債務削減を運営上の重点課題としています。
同社は技術革新を継続的に推進することを目指しています。これは自社の研究開発投資と戦略的買収の組み合わせで行われ、取得した技術や顧客関係の価値は無形資産として計上・償却されています。具体的施策としては、AI駆動の設計支援機能やクラウドネイティブな設計環境の開発、業界標準の推進といった取り組みを進め、製品の定期的なアップデートと顧客支援で設計生産性の向上を図っています。人員増加に伴う人件費や研究開発体制の強化を通じて、製品ロードマップの迅速な実行を重視しています。