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StoneX Group Inc.SNEX
事業内容
StoneX Group Inc.は、企業やトレーダー、投資家を世界の市場につなぐグローバルな金融サービスネットワークを運営しています。同社は電子プラットフォームと対面の高付加価値サービスを組み合わせ、取引執行から決済・保管までの一連のサービスやリスク管理、決済ソリューションを提供しています。
同社の顧客には商業企業、機関投資家、支払決済事業者、証券会社、ヘッジファンド、資産運用会社、個人投資家などが含まれ、180か国以上で数十万口座を扱っています。同社は取引手数料や売買スプレッド、顧客残高に対する金利・手数料、助言やリスク管理サービスの報酬など複数の収益源で収入を得ており、資産クラスや地域、顧客タイプにより収益を分散しています。
事業は主に、先物や証券の決済・清算や機関向けの仲介業務、店頭での相場形成とカスタムのリスクヘッジ商品、複数通貨に対応するグローバル決済サービス、助言・資産運用、そして市場分析を通じた情報提供の各分野で構成されています。同社は規制対応した子会社群と自社の技術基盤を統合し、取引のライフサイクル全体を支えることで顧客との長期的な関係構築を目指しています。
経営方針
同社は「ワン・トラスト・パートナー」を掲げ、顧客基盤と収益の拡大を目指しています。実績としては、営業収益が2020会計年度の13.083億ドルから2024会計年度には34.362億ドルへ拡大しており、商業・機関投資家の顧客数は5万4千以上、自己運用や個人の口座は40万口座超、従業員数は約4,500名と規模を拡大しています。資本政策面では配当は当面予定せず、株式買い戻しは取締役会が2024年に最大150万株を承認するなど、中央集権的な資本配分と流動性管理で成長を支える方針です。
同社はクリアリング、マーケットメイキング、決済、アドバイザリーや資産運用といった「ライフサイクル全体」を提供する点に重点投資し、そこに差別化の源泉を置いています。具体的には米国の大手以外では稀な非銀行系先物委託業者として顧客分離資産が57億ドルあるほか、ロンドン金属取引所の上位会員であることなど取引・清算インフラを強化しています。ハイタッチな顧客対応とデジタルプラットフォームを組み合わせることで、大手銀行と比べた柔軟なサービス提供を差別化戦略としています。
新規市場開拓と事業拡大は有機成長と選択的な買収の両輪で進めています。同社は過去の成長の大半を買収で実現してきたため、今後も小~中規模で顧客中心の事業や新たな資産クラス、地理的展開を補完するターゲットを選別して取り込みたいとしています。一方で買収には経営統合、人材維持、顧客の離脱防止や潜在負債の吸収といったリスクが伴うため、同社は資本配分の統制や統合プロセスの標準化、管理体制の強化といった実務的な手当ても重視しています(必要に応じて株式発行や負債調達が行われる可能性がある点も留意しています)。
技術革新ではデジタル顧客獲得やトレードライフサイクルの自動化に重点を置いており、StoneX.com、FOREX.com や StoneXBullion.com といったプラットフォームやモバイルを通じたオンボーディング投資を続けています。社内では取引プラットフォーム開発費を資産計上し概ね3年で償却する会計方針を採るなど継続的な開発を行い、情報リスク管理方針をNISTサイバーセキュリティ・フレームワークに合わせて整備することで、データ漏えいやランサムウェア等の脅威に対する防御力を高めています。これらにより、スケーラブルなサービス提供と運用の安定性を両立させることを目指しています。