Sabre CorpSABR

時価総額
$5.9億
PER
旅行関連のB2Bプラットフォームの大手。グローバル流通ネットワーク(GDS)と航空・宿泊向けSaaS予約・運用システムを展開。2022年8月にバーチャル決済企業を買収、2024年にオファー・オーダー小売化プラットフォームを投入。175カ国・4万件以上で展開。

事業内容

Sabre Corpは旅行業界向けの技術プラットフォームを提供する企業で、予約情報や在庫・料金データを集めて流通させるネットワークと、それを支える業務用ソフトウェアを運営しています。同社は旅行の検索・販売・発券が一つにつながる仕組みを構築し、旅行の手配がスムーズに進むようにしています。

主要顧客は航空会社や宿泊施設、レンタカー会社といった旅行供給者と、それらを利用する旅行代理店や企業の出張担当部門です。同社の収益は予約や取引ごとの手数料と、クラウド型システムの利用料、導入や運用支援といった契約収入が中心になっています。

事業は大きく「Travel Solutions」と「Hospitality Solutions」の二つに分かれており、前者ではグローバルな予約流通と航空会社向けの販売・運航支援ソフトを提供しています。航空向けには個別化された販売を可能にするSabreMosaicなどのプラットフォームや予約システムを展開し、収益化や販売効率の向上を支援しています。同社のホテル向け部門では料金設定や予約管理、販売チャネルの統合を行うクラウド型システムで多数の宿泊施設を支えています。

経営方針

同社は持続的な長期成長と正のフリーキャッシュフローの確保を目指しています。2024年の総売上は約30.3億ドル(3,029,565千ドル)で、トランザクション型収益が主要な収入源となっており、ホスピタリティ事業では取引ベースの売上が約77%を占めています。コスト構造改善にも注力しており、2023年Q2から実施したコスト削減計画に伴う人員関連費用として累計約8,300万ドルを計上した一方で、当初見込みの2億ドルの効果の大部分を2024年に実現しています。流動性面は引き続き注視しており、今後12か月で約2.31億ドルの借入元本償還が予定されているため、資金繰りのモニタリングを継続します。

同社は製品とサービスへの重点投資により差別化を図っています。航空・旅行業界向けのTravel Solutionsとホテル向けのHospitality Solutionsという二本柱を持ち、SaaSやホスト型サービスへの投資を進めています。具体策として、航空向けの新しいオファー・オーダー小売化プラットフォーム「SabreMosaic」を2024年に投入し、顧客ごとに動的な商品や価格を提供できるモジュール型のオープン設計を打ち出しています。また、決済分野ではConfermaを買収(正味現金支出約6,200万ドルほか)してバーチャル決済技術を取り込み、旅行エコシステム内での差別化を図っています。

新市場開拓と事業拡大では、既存の顧客基盤を横展開する方針を掲げています。同社は世界で40,000を超える宿泊施設にサービスを提供し、2024年の地域別売上は米国が約11.4億ドル、欧州が約5.88億ドル、アジア太平洋が約5.41億ドルという構成になっており、地域別の成長機会を追求します。販売面では顧客への追加製品導入やコンテンツ拡充、NDC(新しい流通能力)等の統合を通じて代理店や航空会社との商業契約を拡大し、関連分野への製品ライン延伸や戦略的M&Aを活用して収益の裾野を広げる計画です。

技術革新への取り組みは同社戦略の中核であり、基盤的なモダナイゼーションを継続しています。2024年にオープンソースやクラウドへの再プラットフォーム化目標を確定し、技術関連コストの年次削減効果が現れていると報告しています。2025年の設備投資は主に資本化ソフトウェアに約8,500万ドルを見込んでおり、この投資により運用安定性の向上、クラウド費用の低減、高付加価値サービスの創出を図ることで利益率改善を目指しています。同社は技術基盤の近代化と製品革新を通じて、顧客の運営効率化と旅客体験の高度化を実現することを目指しています。