Phillips 66PSX

時価総額
$518.9億
PER
石油精製・ミッドストリーム・燃料販売の大手。再生可能燃料、潤滑油、航空燃料を展開。2024年7月にPinnacle Midstreamを565百万ドルで買収。米国48州と欧州で小売約7,450拠点展開。

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企業概況
111文字)
業績概況
テーマ
1項目)
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ライバル企業
2社)
同業種の日本企業
1社)

事業内容

Phillips 66は原油やその他の原料を精製してガソリン、ディーゼル、航空燃料などの石油製品を生産するとともに、再生可能原料からの燃料製造にも取り組んでいる総合エネルギー企業です。同社は製品の精製だけでなく、パイプラインやターミナルを使った輸送・保管、化学品の製造、潤滑油や特殊製品の生産・販売、小売チャネルでの販売まで幅広く手掛けています。

主要な顧客は自動車関連、航空会社、産業用途の企業、卸売業者やガソリンスタンドなどの小売業者で、国内外の法人・個人向けに製品を供給しています。同社の収益は製品販売のマージン、ミッドストリーム事業の運賃や手数料、化学事業からの持分利益、潤滑油や特殊製品の販売が中心で、ブランド販売や輸出も重要な収入源になっています。

事業は主にミッドストリーム(原油や精製製品の輸送・貯蔵、天然ガス処理など)、化学(CPChemへの持分投資によるポリマー等の供給)、精製(米国と欧州にある精製所での燃料生産)、マーケティング・特化製品(小売網と潤滑油・ベースオイル等)、再生可能燃料(再生原料の調達・製造)の各セグメントで構成されています。同社は合弁や買収を通じて販売網と供給能力を拡大し、輸出能力や再生可能燃料の配置で市場需要に応えています。

経営方針

同社は株主還元と選択的成長を両立させることを成長戦略の中核に据えています。具体的には2025〜2027年フェーズでミッドストリームとケミカルズの成長に注力しつつ、買収を除く年間設備投資をおおむね20億ドルで維持する方針です。株主還元では「営業活動による純現金の50%超を配当と自社株買いで還元する」新目標を掲げ、2024年は営業CFで約42億ドルを創出し、同年に約35億ドルを自社株買い、約19億ドルを配当に充てるなど実績を示しています。

重点投資分野では、精製の稼働最適化とミッドストリームの井戸頭から市場まで(wellhead-to-market)の価値鎖強化が柱です。精製面では稼働率と歩留まりの向上に注力し、2024年は原油処理稼働率95%、クリーン製品歩留まり87%を達成、2025〜27年はクリーン歩留まりを86%超、業界平均を上回る稼働率を目指しています。また業務改革により2024年末時点で年率$1.5 billionのコスト削減を実現しており、低投資で高リターンのプログラムに絞って差別化を図っています。

新市場開拓や事業拡大では、再生可能燃料とNGL(天然ガス液体)関連の拡大が明確です。サンフランシスコ精製所をRodeo Renewable Energy Complexへ転換完了し、再生可能ディーゼルやSAF(持続可能航空燃料)の生産・供給網を強化しています。ミッドストリームでは2024年にPinnacle Midlandを$565 millionで取得してPermianの集積を強化し、ミッドランド域での処理プラント拡張は2025年中頃の完成を見込んでいます。さらにDCP Midstreamの統合からは年間で$500 million超のランレート・シナジーを確保しており、資産の選別・売却によるポートフォリオ最適化も継続しています。

技術革新への取り組みでは、特許保有数が世界で511件(米国約400件)にのぼることを踏まえ、製造効率や低炭素技術、フィードストックの最適化に投資しています。同社は安全・環境管理(HSE)で「事故ゼロ」を目標としつつ、研究開発や新技術の実用化に資金を割いており、コーポレートの情報技術投資にも$75 millionを計上して供給網と生産のデジタル最適化を進めています。これらを通じて既存資産の競争力を高めつつ、再生可能分野への事業転換を図る方針です。