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EPLUS INCPLUS
事業内容
EPLUS INCはセキュリティ、クラウド、ネットワーク、コラボレーション、AIなどを中核に、企業のIT環境を設計・導入・運用する総合的なソリューションプロバイダーです。同社はサードパーティ製品の単純な再販にとどまらず、コンサルティングや導入・運用のプロフェッショナルサービス、監視を含むマネージドサービス、さらに機器のリースや資金調達といったファイナンスまでITのライフサイクルを一貫して扱っています。
同社の顧客は主に中堅~大手企業や州・地方自治体・教育機関などで、通信、メディア、テクノロジー、医療、金融といった業種に広がります。売上の多くは米国向けの技術事業が占めており、直近では技術事業が売上の約97%(製品78%、プロフェッショナル11%、マネージド8%)を占め、ファイナンス事業は売上比率は小さいものの営業利益への寄与が相対的に大きくなっています。また、一部の大口顧客への依存があり、例として主要な通信事業者向け売上が一定割合を占めます。
事業セグメントは製品、プロフェッショナルサービス、マネージドサービス、ファイナンスに分かれます。製品ではハードウエアや永続型・サブスクリプション型ソフトウエア、保守を扱い、プロフェッショナルサービスではクラウド移行やアプリの近代化、プロジェクト管理、AI導入支援などを行っています。マネージドサービスはオンプレミスとクラウドの両面で監視・運用を実施し、会議室や音響映像の自動化、倉庫での機器構成・物流といった付帯サービスまで含めたワンストップの提供体制を整えています。
経営方針
同社は主にセキュリティ、クラウド、ネットワーキング、コラボレーション、AIなどの領域でソリューション提供を拡大することで安定的な成長を目指しています。年次報告では明確な売上目標は示されていませんが、経営指標として売上高、粗利率、営業利益率、Adjusted EBITDAや「グロス・ビリングス」を重視しており、これらを用いて事業進捗を管理しています。事業規模や顧客基盤の拡大はM&Aや資本配分にも表れており、2024〜2025年度にかけてBailiwick(買収対価約1.25億ドル)、NSG(約4,860万ドル)、Peak(約790万ドル)などの買収を実行したほか、自己株式買い戻しにFY2025で約4,310万ドルを投じています。事業構成としては技術関連が売上の約97%を占め、製品が約78%、プロフェッショナルサービスが約11%、マネージドサービスが約8%と、サービス化・サブスクリプション化による継続収益の比率向上を経営の柱に据えています。
同社は重点投資分野としてクラウド運用、セキュリティ、AIアドバイザリー、コラボレーション基盤の強化に注力しています。差別化手段は自前のエンジニアリング人材と主要ベンダーの上位認定資格、何千社ものメーカーを扱う再販ネットワーク、そして柔軟なファイナンス提供にあります。具体的には顧客向けのクラウド運用ポートフォリオを整備し、マネージドサービスにはSOC1/SOC2の体制を整えて信頼性を担保するとともに、現場導入を迅速化するため米国内に分散した構成センターや倉庫で製品を事前設定して納入する仕組みを運用しています。これにより単なる製品売上だけでなく、設計・導入・運用まで一気通貫で提供する「アドバイザリー先導型」の営業を強化しています。
新市場開拓と事業拡大では、買収による地域・業種の補完と既存サービスの横展開を狙っています。例えばBailiwickの買収は小売や金融サービスなど店舗網を持つ大手顧客向けの遠隔管理や現場支援力を強化する狙いがあり、NSGの取得はサービスプロバイダ分野でのプレゼンス拡大を目的としています。地理的には米国が主力である一方、英国、EU、インド、シンガポールといった選定市場への展開も継続しており、必要に応じて内部留保や債務、資本市場からの調達を通じて追加投資・買収資金を確保する方針です。資金面では最大5億ドルの総与信枠(うちリボルビング枠2億ドル)を活用可能として流動性を担保しています。
技術革新への取り組みは製品導入にとどまらず、オーケストレーションや自動化、アプリの近代化、開発運用とセキュリティを統合する体制(DevSecOps)、ゼロトラスト型の設計、データ管理と可視化、エッジコンピューティングなどの先進領域に重点を置いています。AIについては「AIエンビジョニングワークショップ」や「AIユースケース開発ワークショップ」、社内サービスの「ePlus Secure GenAI Accelerator」を通じて顧客のAI導入を支援しており、会議室向け自動化アシスタント(ePlus AVA)など具体的な製品化も進めています。さらに情報セキュリティ専門チームと定期的なセキュリティ検証を通じて、自社と顧客双方の運用信頼性を高める投資を継続しています。