Palo Alto Networks IncPANW

時価総額
$1278.2億
PER
企業向けセキュリティ製品の最大手。次世代ファイアウォールとクラウドセキュリティ、Unit 42の脅威インテリジェンスを展開(チャネル6,500社超、2024年7月31日時点)。2023年12月にTalonを4億5860万ドルで買収。米国・欧州・日本中心に展開。

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企業概況
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業績概況
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同業種の日本企業
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事業内容

Palo Alto Networks Incは、企業や政府向けにサイバーセキュリティのハードウェアとソフトウェアを組み合わせたプラットフォームを提供する会社で、ネットワークやクラウド、リモート環境の保護を中心に事業を展開しています。主力はファイアウォールや仮想ファイアウォールに加え、クラウド向けやゼロトラスト/SASE、脅威検知のソリューションで、サブスクリプション型の契約と製品販売を組み合わせた収益モデルです。

同社の顧客は中〜大規模の企業、通信事業者、政府機関など多岐にわたり、教育、金融、医療、製造など幅広い業種が含まれます。収益構造はサブスクリプションとサポート契約が中心で、複数年契約の前受金(繰延収益)やハードウェア売上がこれに続きます。販売は主にチャネル経由で行い、多数の流通業者と数千のパートナーを通じた間接販売が重要な比率を占めています。

事業の中身は製品販売、継続的なサブスクリプション/サポート、導入や教育を行うプロフェッショナルサービスに分かれます。製品ラインはオンプレ機器やVMシリーズの仮想ファイアウォール、PrismaブランドのクラウドとSASEソリューション、Cortexによる検知・対応プラットフォームなどで、Unit 42という脅威インテリジェンスも活用して顧客運用を支えています。販売チャネルは直接と間接、さらにクラウドマーケットプレイスでの利用型ライセンスを併用し、導入後のサポートで継続収益を高める戦略を取っています。

経営方針

Palo Alto Networksはサブスクリプション中心の「プラットフォーム化」による安定的な成長を志向しており、過去2年で売上成長率は2023会計年度が25.3%、2024会計年度が16.5%となっています。短期的には年間経常収入(ARR)やサブスクリプション比率の拡大を重視し、営業キャッシュフローは2024年度で約32.6億ドルを確保していることから、同社は二桁成長の維持とキャッシュ創出の両立を目指しています。株主還元では過去から総額36億ドルの自社株買い枠を認可しており、2024年7月末時点での残枠は50億ドル相当(約5億ドル残)で、同年8月に追加で5億ドルを上積みして合計で将来的に1.0億ドル相当の残枠を想定しています(買戻しは裁量で実施)。

重点投資分野はクラウド、ゼロトラスト型のアクセス制御、脅威検出と自動化の3領域で、製品面ではPrisma Cloud(クラウドセキュリティ)、Prisma SASE(遠隔アクセスとネットワーク統合)、Cortex XSIAM(検出と自動対応)を中核に据えています。差別化策としては複数ソリューションを連携させたプラットフォーム提供と、6,500社以上のチャネルパートナー網を通した販売体制を活用しており、2024年度は4社の大手流通業者から売上の59%を得るなどチャネル依存を活かした拡販を行っています。加えて製造を外部に委託することで在庫とコストを抑制し、顧客ごとの大規模展開にも対応可能な体制を整えています。

新市場開拓では、買収と戦略提携を積極的に用いて事業領域を拡張しています。直近のM&AではDigを約2.55億ドルで取得してクラウド上のデータ可視化・管理(DSPM)を補強し、Talonを約4.59億ドルで取得して企業ブラウザ経由のアクセス制御を強化しました。さらにIBMとの提携でQRadarのSaaS資産を取得(2024年8月完了)し、Cortex XSIAMの強化とSIEM分野のSaaS展開を加速させています。人員も増強しており、従業員数は2023会計年度末の13,948人から2024会計年度末に15,289人へ増加しており、大企業案件の獲得とグローバル展開を狙った投資を続けています。

技術革新への取り組みでは研究開発とAIの活用を最優先とし、2024会計年度にはPrisma Cloud Darwin、PAN-OS 11.2 Quasar、Cortex XSIAM 2.0、Prisma SASE 3.0、Precision AIといった主要リリースを発表しました。Unit 42などの脅威インテリジェンスや、買収技術の統合によって「コードからクラウドまで」や「検出から自動対応まで」を一貫して提供することを目指しており、今後もR&D投資と買収を組み合わせて差別化技術の迅速な市場投入を図る方針です。