Okta, Inc.OKTA

時価総額
$157.9億
PER
クラウド型アイデンティティ管理サービスの大手。クラウドIDプラットフォーム、顧客ID・ワークフォースID管理、多要素認証を展開。2024年にSpera買収、従業員は2025年1月31日時点で5,914人、国際売上比率は2024・2025会計年度で21%。米国・欧州・アジア太平洋で展開。

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企業概況
109文字)
業績概況
テーマ
2項目)
ブランド
1項目)
ライバル企業
1社)
同業種の日本企業
2社)

事業内容

Okta, Inc.は、企業やウェブサービスがユーザーの本人確認とアクセス権を安全に管理できるクラウド型ソフトウェアを提供する会社です。同社は従業員向けのID管理と外部顧客向けのログイン基盤(Auth0など)を中心に、シングルサインオンや多要素認証、アカウントのライフサイクル管理といった機能をサービスとして提供しています。

同社の顧客は大企業から中小企業、ソフトウェア開発者やクラウド事業者まで幅広く、収益は主にサブスクリプション契約と導入・運用支援などのプロフェッショナルサービスで成り立っています。同社はユーザー数増加や追加機能の販売で契約内の売上を拡大する「エクスパンション営業」を重視し、開発者向けの無料トライアルから有料化する流れも重要な収益源になっています。

事業は大きく従業員向けのWorkforce Identityと顧客向けのCustomer Identity(Auth0)に分かれ、これに加えて開発者向けツールやサードパーティ連携、導入支援サービスを揃えています。同社は地域や顧客規模別に営業体制を整え、クラウド事業者やチャネルパートナーと連携して導入を広げるほか、年次カンファレンスやデータ重視のマーケティングで顧客成功を支援しています。

経営方針

同社は既存顧客からの収益拡大を成長の柱と位置づけ、クロスセルやアップセルで追加製品の導入を促進することを目指しています。具体的には、OktaプラットフォームとAuth0プラットフォーム間での導入拡大を狙う「land-and-expand(とどまり拡大)」型の販売を強化し、大口顧客や規制の厳しい業種を重点ターゲットとすることで市場シェアを伸ばそうとしています。実績としては、直近の通期で国際売上が全体の21%を占め、国際売上は前期比14%成長しており、過去3年間の売上成長率はそれぞれ43%、22%、15%と推移していますが、同社はこれらの基盤を活かしてさらに伸ばすことを目指しています。

同社は差別化のために研究開発とパートナーエコシステムへ重点投資を行っています。研究開発ではAIを含む新機能投入に注力しており、Identity Threat ProtectionやAuth0向けのGuide、業界初とされるUniversal Logoutなどを提供開始しました。製品面では、7,000以上のアプリやインフラとの事前連携を備えたOkta Integration Networkを武器に、他社製品と共存しやすい独立性と広い接続性で競合に対抗する戦略をとっています。また、Okta Elevate Partner Programを通じてグローバルのSI(システムインテグレーター)や運用事業者を活用し、販売と導入のスケールを図っています。

同社は新市場開拓と事業拡大でも明確な計画を示しています。国際展開を強化し、クラウド移行が進む海外市場での需要を取り込むことを目指しており、販売組織を地域別・顧客規模別に細分化して専門性を高めています。開発者エコシステム拡大にも力を入れ、Auth0のセルフサービス型の無料トライアルを通じて開発者に直接リーチし、その後の有償化や社内での展開へつなげる方針です。一方で、事業資源の最適化として人員削減を伴う再編も行っており、2025会計年度には約180名の削減を実施してリソースを優先課題へ再配分しています。

技術革新への取り組みは同社のもう一つの中核です。今後も優秀な技術人材の採用と機敏な組織運営に投資を続け、プラットフォームの拡張や新規製品の開発で顧客価値を高めることを目指しています。加えて蓄積する認証・利用データを分析に活用し、脅威検知や運用の自動化といった付加価値サービスを提供する計画です。ただし業界は技術変化が速く競争も激しいため、研究開発投資や買収による能力補完が計画通り行かないリスク、販売サイクルの長期化による費用と収益のタイムラグといった運用上の課題もある点を同社は認識しています。