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OCULAR THERAPEUTIX, INCOCUL
事業内容
OCULAR THERAPEUTIX, INCは眼科向けのバイオ医薬品を開発・販売する企業で、特に眼内に挿入して薬を持続放出するデバイス型製品を中心に事業を展開しています。主力製品であるDEXTENZAは同社の商業活動の中核で、承認取得後の販売とさらなる適応拡大を進めています。
同社は米国市場を中心に、主に専門流通業者(SD)へ製品を販売し、これらが外来手術センターや病院、診療所に再販売する流通モデルを採用しています。収益は製品販売が大部分を占める一方、提携収入やライセンス・マイルストーン収入もあり、少数の流通業者や主要顧客への依存度が高い点が収益上の特徴です。
事業は単一の報告セグメントで運営し、マサチューセッツ州ベッドフォードに研究開発や製造の拠点を持っています。製品ラインは挿入薬プラットフォームを核に、商用製品のDEXTENZAに加え網膜領域などの候補品(AXPAXLIなど)の開発を進めつつ、自社直販と専門流通業者を組み合わせた販売体制を整えています。
経営方針
同社はDEXTENZAの既存事業を拡大するとともに、滲出型加齢黄斑変性(wet AMD)を想定した新規製品AXPAXLIの上市で成長を加速させることを目指しています。2024年の製品売上は約6,372万ドルでしたが、同年の純損失は約1億9,350万ドルと引き続き赤字が続いています。一方で、2024年12月31日時点の現金・現金同等物は約3.92億ドルと潤沢で、2024年2月の私募で約3.16億ドルの純調達、2023年12月の公募で約1.08億ドルの純調達、加えて債務枠としてのBaringsによる8250万ドルの借入を活用して当面の開発と商業化投資の資金基盤を確保しています。
重点投資分野は臨床開発と販売体制の強化です。特にAXPAXLIに対する直接的な開発費は2024年に約5,750万ドルと大きく膨らんでおり、研究開発部門(従業員118名)と販売・マーケティング部門(93名)への投資を継続しています。差別化戦略としては、点眼や頻回注射ではなく持続放出型の眼内挿入剤という投与プラットフォームを強みにしており、親水性高分子(ハイドロゲル)を用いた薬物放出制御などの特許技術で競合と差をつけることを目指しています。また販売面では、現状は専門ディストリビューター経由が中心ですが、直販チャネルの拡大とディストリビューター基盤の分散化により売上拡大を図る施策を取っています。
新市場開拓と事業拡大については、まず米国での商業基盤を堅持しつつ、海外展開やライセンス・提携による拡大も視野に入れています。現時点で製品売上は全て米国内で計上されていますが、協業先からの収入が中国の顧客に起因する例もあり、国際展開の可能性を検討しています。AXPAXLIが規制当局の承認を得られれば、製品ポートフォリオにおける注射頻度低減という臨床的価値を訴求して大幅な売上伸長を目指す計画です。商業準備のために製造拠点(ベッドフォードに約91,000平方フィートを保有)や販売人員の拡充を進めています。
技術革新への取り組みは同社戦略の中核であり、持続放出デバイスの製剤設計、放出制御の最適化、製造プロセスの拡大を重視しています。特にAXPAXLIの臨床プログラムに多額の資源を投入しており、外部の臨床支援(例:臨床読影センター等)や社内の研究体制の強化を通じて技術的優位性を高めようとしています。人材確保のためにストックベースの報酬制度(約9,260,579株を報酬用に確保)も用い、臨床・開発・製造の専門性を維持してイノベーションを持続することを目指しています。