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NetApp, Inc.NTAP
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事業内容
NetApp, Inc.は企業のデータ保存・管理を中心に、オンプレミスとクラウドをつなぐソリューションを提供する会社です。同社は高速なストレージ機器とデータ管理ソフト、クラウド向けのサービスを組み合わせて、企業がデータを安全に保管・移動・復旧できるようにしています。
同社の顧客は大企業やクラウド事業者、システムインテグレーターなど幅広く、販売は代理店や再販業者を通す間接チャネルの比重が高くなっています。収益はハードウェア販売とソフトウェアやクラウドの定期収益が混在しており、使用量に応じた課金や「ストレージをサービスとして提供する」モデルの比率を高めています。なお、2024年度はArrow ElectronicsとTD Synnexがそれぞれ売上の約22%を占めています。
同社の事業は大きくオンプレミスのストレージ製品、データ管理ソフト、クラウドサービスや運用支援のラインで構成されています。ソフトウェア面ではデータ移行や災害対策、サイバー耐性、コスト最適化に注力し、近年の買収でクラウド最適化や運用自動化の機能も強化しています。
経営方針
同社はハイブリッドクラウドを軸に収益の安定化と持続的成長を目指しています。明確な売上目標は開示していないものの、オンプレミスとクラウドを横断する「消費モデル」(クラウドやサービスとしての提供)への移行を成長の主要ドライバーと位置づけており、キャッシュ配分では株主還元と事業投資の両立を図っています。具体的には、2024年4月時点で累計約3億7,200万株を平均42.04ドルで買い戻し総額約156億ドルを実行しており(残余の買戻し枠は約5億ドル、2024年5月に追加で10億ドルを承認)、四半期配当は2024年度に各0.50ドルを支払い、2025年度第1四半期は0.52ドルを宣言しています。一方で社債残高は約24億ドルと資本構成の一要素であり、設備投資は2025年度に1.5〜2.0億ドルを見込んでいる点から、成長投資と財務健全性の両立を図る方針です。
重点投資分野はソフトウエアとクラウド統合、サイバー耐性、人工知能(AI)対応、そして持続可能性に集約されています。同社は研究開発を成長の基礎と位置づけており、研究開発費は2024会計年度で10.29億ドルに達しており、2022〜2024年で増加傾向にあります。差別化の核はソフトウエアの機能拡張とクラウド事業者や再販パートナーとの連携で、間接チャネル経由の売上が2024年度の約76%を占めるなどパートナーエコシステムを重視しています。製造は外部委託で柔軟性を確保しつつ、ISO認証など品質管理体制を整えている点も競争優位につながる施策です。
新市場開拓と事業拡大では、クラウド運用とマネージドサービス領域の強化を掲げ、買収による能力獲得を積極的に進めています。具体例として、Instaclustrを約4.98億ドルで取得しマネージド・オープンソースデータ基盤を取り込み、CloudCheckrを約3.47億ドルで買収してクラウド最適化機能を補完、さらにFylamynt(約2,700万ドル)やData Mechanics(約1,500万ドル)を獲得して自動化やクラウド分析機能を強化しました。営業体制でも2024年度にセールス組織を再編してリソース配分を市場機会に合わせる施策を実行しており、営業・技術支援要員は世界で約5,300名、約24か国に拠点を持つグローバル展開を続けています。
技術革新への取り組みは製品を「はじめからクラウド接続を念頭に設計する」方針に表れており、データ移行、複製、災害復旧、階層化といった機能をクラウドと連携させることに注力しています。製品群の刷新ではフラッシュ対応の新しいアレイや容量最適化シリーズなどを投入しており、知的財産は米国で2,000件超の特許を保有するなど基盤を整えています。これらの技術投資とパートナー連携により差別化を図る一方で、主要クラウド事業者が同時に競合となるリスクや市場の消費動向の変化に迅速に対応する必要があることも経営課題として認識しています。