Marathon Petroleum CorpMPC

時価総額
$500.9億
PER
下流統合エネルギー事業の最大手。大規模製油所網と再生可能ディーゼル、MPLX経由のミッドストリームを展開。2021年5月14日にSpeedwayを7‑Elevenへ売却、2024年にBANGL追加取得で210百万ドル支払。米国中心に国際展開。

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企業概況
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業績概況
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同業種の日本企業
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事業内容

Marathon Petroleum Corpは、原油を精製してガソリンや軽油、アスファルト、重油などの石油製品を製造・販売する統合型の下流エネルギー企業です。同社は国内でも最大級の精製ネットワークを運営し、再生可能ディーゼルの生産・販売にも注力しています。

同社は製品を国内外の卸売顧客やスポット市場、ブランドを扱う独立事業者、そして長期供給契約に基づくディーラー網を通じて消費者に供給しています。売上は精製・販売による製品販売が中心で、パイプラインやターミナル、輸送などを担う中間事業(MPLX)からの手数料収入や、近年拡大する再生可能燃料の販売も重要な収入源です。なお、2021年に同社は自社運営の小売チェーン(Speedway)を売却し直営小売の比重を下げています。

同社の事業は大きく「精製・販売」「中間(ミッドストリーム)」「再生可能ディーゼル」の各セグメントに分かれます。精製・販売は各地の製油所で燃料やプロパン、重油など幅広い製品を扱い、中間事業はMPLXを通じてパイプライン、ターミナル、海運、トラックや鉄道輸送といった輸送・保管インフラを運営しています。加えて、共同出資でのエタノールや再生可能天然ガスプロジェクトにも関与し、低炭素燃料の供給拡大を進めています。

経営方針

同社は資産ごとにフリー・キャッシュ・フローを生み出すことを通じて株主還元を高めることを成長戦略の中心に据え、バリューチェーン全体をより統合的に最適化することを目指しています。具体的には、2025年の資本投資見通しで同社(MPC、MPLXを除く)が約$1.25 billion、ミッドストリーム子会社のMPLXが約$2.0 billionを計画しており、これらは資産効率向上と高リターンプロジェクトへの配分を優先するための戦略的な資金配分を示しています。また、取締役会は2024年に合計$10.0 billionの株式買戻し枠を承認しており、2024年12月末時点で約$7.75 billionが残っているなど、現金還元を重視した資本政策を進めています。

重点投資分野は既存精製所の競争力強化と低炭素化に向けた施策です。精製・販売部門では2025年に約$1.20 billionを見積もり、その内訳に維持整備資本約$350 millionと、低炭素イニシアチブ向け約$100 million、残り約$750 millionは高硫黄蒸留留分のULSD(超低硫黄柴油)転換やディスティレートの増産を目的とした価値創出投資に充てられます。差別化の源泉としては、洛杉磯(Los Angeles)製油所のユーティリティ統合やガルベストンベイでのSTARプロジェクトなど、稼働率と製品構成を改善してより高付加価値製品を生む能力を高める点を掲げています。

新市場開拓や事業拡大については、中流部門でのパイプラインやガス処理能力の拡充を通じて供給網を南部の輸出市場やLNG市場に結びつけることを重視しています。具体的には、BANGLの追加持分取得に$210 millionを投じて所有比率を45%に引き上げ、ユーティカ盆地の集積資産取得に$625 millionを出資して同地域での持分を拡大(OGCで73%持分、OCCを100%取得)するなど、産出地から消費地・輸出地へつなぐ統合的なネットワークを拡大しています。さらに、Whistler関連の合弁再編では外部パートナーを迎えたうえで現金配当や一時的な利益を確保するなど、資本効率を意識したM&A・ジョイントベンチャー戦略を採っています。

技術革新への取り組みでは、再生可能ディーゼルや低炭素技術への投資を明確な優先事項としています。2024年末に再生可能ディーゼル部門を独立したセグメントとして設置し、Martinez RenewablesやGreen Bisonといった合弁への出資実績を置き、炭素強度低減に向けた技術導入を進めています。加えて、製油所のエネルギー効率化やユーティリティの近代化、情報技術のアップグレード(2025年のコーポレート投資見込み約$45 million)といった運用面の改善を進め、規制対応(再生燃料規制や排出取引)と連動させて持続可能な生産構造へ移行することを目指しています。