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MCKESSON CORPMCK
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事業内容
MCKESSON CORPは医薬品や医療用品の流通とそれに付随するサービスを中核に展開する総合ヘルスケア企業です。 同社は病院や調剤薬局、専門診療所向けに医薬品や医療消耗品の配送・在庫管理・供給確保といったサプライチェーン機能に加え、薬局運営支援や患者向けの処方支援サービスを提供しています。
主要な顧客は大手ドラッグストアチェーン、病院・医療機関、独立薬局、専門クリニック、保険者や製薬会社で、収益は医薬品販売のマージンと各種サービスの手数料が中心です。 同社は大口顧客への依存度が高く、上位10社でおよそ72%、最大顧客のCVSが約24%を占める構成になっています。
事業は大きく米国向けの医薬品流通と薬局支援、処方関連の技術・サービス、医療・外科用品の供給、国際・カナダの小売展開に分かれています。 同社はがんなどの専門領域向けの薬剤配送と診療支援、処方の価格透明化や患者支援を行う技術サービス、倉庫の自動化やデータ分析への投資を通じて供給網の効率化を進めています。
経営方針
同社は統合的なオンコロジー(がん領域)と専門薬(スペシャリティ)ケアのプラットフォーム構築およびバイオファーマ(医薬品向けサービス)事業の拡大を成長戦略の中核に据えています。具体的には、Rx Savings Solutionsを2022年11月に現金600百万ドルで買収し、最大275百万ドルの業績連動支払いを含めた投資により処方関連サービスを強化しました。財務面では営業活動によるキャッシュフローが約60.9億ドル(2025会計年度)に達し、設備投資として有形固定資産に約5.37億ドル、資本化ソフトウェアに約3.22億ドルを支出している点からも成長投資の強さが窺えます。一方で顧客や供給先の集中度は高く、最大顧客が売上の約24%、上位10社で約72%を占めるため、成長と同時に関係管理や契約リスクの軽減も重視しています。
同社は供給網と流通インフラ、そして専門サービスへの重点投資で差別化を図っています。具体策としては配送センターの拡張と自動化による供給能力の増強、在庫と供給の安定化を狙った「Supply Assurance」施策、薬局向け業務を支援するシステム(Pharmacy Systems、MacroHelix、Supply Logixなど)への投資を進めています。またオンコロジー分野ではOntadaという技術・データ事業や、51%出資のSCRI Oncologyによる臨床試験ネットワーク、The U.S. Oncology Networkの連携といった臨床・研究面での差別化を重視しており、これらが単なる流通会社との差別化ポイントになっています。さらに一部の医薬品メーカーとの流通契約には、値上げ時に既存在庫を高値で販売できる「インフレ連動」の報酬構成があり、売上総利益に影響する収益源になっています。
新市場と事業ポートフォリオの入れ替えは明確な方針で進められています。ヨーロッパ事業からの撤退を発表しており、カナダ小売の一部(Rexall、Well.ca)は売却済みで、海外は連結売上の約4%にとどまる一方、北米を中心としたオンコロジーやバイオファーマ領域に経営資源を集中させています。成長のための資本政策では、配当は2025会計年度で年間合計2.75ドル/株を支払い、株主還元余地として取締役会が2023年に最大60億ドル、2024年にさらに40億ドルの自社株買いを承認するなど、自己株買いによる資本効率改善も併用しています。資金調達面では最大10億ドルの短期リボルビング枠(364日)を確保しており、必要に応じて期日までに期間の延長やタームローンへの転換を行う選択肢を持っています。
技術革新に関してはデータと人工知能(AI)をコアに据えた投資を進めており、「早期段階ながらAIや高度な分析を活用して生産性やサービスを向上させる」ことを明言しています。具体的投資実績として前述の資本化ソフトウェア約3.22億ドルや、買収に伴う顧客・技術系無形資産2.29億ドル(償却期間12年)などが挙げられます。並行してサイバーセキュリティや法令順守の体制強化、社内の教育訓練を継続的に実施しており、技術導入のメリットと同時に運用リスクの管理にも注力しています。なお同社自身もAI投資の効果や競争優位の確保には不確実性があると認識しており、投資回収とリスク管理を両立させる姿勢を示しています。