KRATOS DEFENSE & SECURITY SOLUTIONS, INC.KTOS

時価総額
$131.2億
PER
防衛・国家安全保障向けの技術開発・製造の有力企業。低コスト無人機やハイパーソニック向け固体ロケットモーターを展開。22年3月9日にSRIエンジニアリング部門を約7,940万ドルで買収。米国中心に展開。

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企業概況
105文字)
業績概況
テーマ
1項目)
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ライバル企業
5社)
同業種の日本企業
3社)

事業内容

KRATOS DEFENSE & SECURITY SOLUTIONS, INC.は防衛・国家安全保障向けのハードウェアとシステムを設計・開発・製造し、実地で使える形で納入する会社です。同社は無人航空機や訓練用の目標機、ロケット推進装置、極超音速実験機など、量産と低コスト化を重視した装備を主力にしています。

主要顧客は米国防総省や米空軍、米海軍などの政府機関で、売上の大部分を大型契約や長期プログラムが占めています。同社は単独でプライムを務めることも、他の大手企業とチームを組んでサブ契約で参加することもあり、機密案件を含む継続的な収入基盤を持っています。

事業は無人機・目標機と訓練システム、ロケット・推進系、探知・通信・電子戦といった製品ラインに分かれており、各分野で設計から量産まで一貫して手掛けています。同社は自社投資による迅速な試作と実装、他社との連携による大型案件への参画を戦略とし、顧客の優先要求に対応することを重視しています。

また、同社は買収で技術や生産能力を拡充しつつ、供給網や政府予算の変動に伴うリスク管理にも取り組んでいます。これにより性能とコストのバランスを保ちつつ、国家安全保障の優先領域での成長を目指しています。

経営方針

同社は売上拡大と収益性の両立を目指しています。2024年には総収入の約67%(約7.62億ドル)が米国政府向けで、同年のUS事業は全体の23.8%を占めました。製品売上は62.7%を占める一方で、総利益率は25.3%と前期に比べやや低下しており、同社は規模拡大を図りつつ利益率の改善を狙っています。短期的な資金計画としては、営業キャッシュフローと既存の与信枠で少なくとも今後12か月の運転資金を賄える見込みとし、当面は配当や自社株買いを行わず内部投資に充てる方針です。

同社は戦略的に重点投資を行う分野を明確にしています。無人機(航空・地上・海上)やタービン技術、ロケット支援サービス、極超音速機器や先端材料・センサー技術などに資源を集中し、2024年には自己資金による研究開発に4,030万ドル(売上比約3.5%)を投じました。差別化戦略は「低コストで量を出せるハードウェアを迅速に市場投入する」ことと位置づけ、短期間で実機を開発・量産できる設計・製造体制や大手防衛企業との協業を通じて「設計段階からの組み込み」や納入実績で競争優位を築いています。能力強化のため、2022年にSouthern Researchのエンジニアリング部門を約7,940万ドルで取得するなど買収も進めています。

新市場開拓と事業拡大については、同社は従来の米国防省中心の顧客基盤を広げ、外国政府や国内外の非軍事機関、商用市場への拡大を目指しています。ただし無人システム市場や特定プログラムは不確実性が高く、需要やプログラム化の成否が成長に直結するため段階的に顧客層を広げる計画です。成長に伴う人員・システム投資や買収の統合にはリスクがあるため、統合プロセスや内部統制の強化、必要に応じた資金調達(与信枠や公募・私募等)を検討しながら拡大を進める姿勢を示しています。

技術革新に関しては、同社は「先に市場に出す」ことを重視して研究開発と内部投資を続けています。極超音速機の開発や固体ロケットモーターの実証など具体的プロジェクトに投資しつつ、情報技術やサイバーセキュリティの体制整備にも注力しています。内部のサイバー対応計画(インシデント対応計画)や最高情報責任者の指名により重要システムの可用性確保を図り、また財務報告・内部統制については外部監査人の無限定意見を受けるなど信頼性向上に取り組んでいます。これらにより量産化と品質維持を両立させ、将来的な事業継続性と競争力の確保を目指しています。