OPENLANE, Inc.KAR

時価総額
$30.5億
PER
中古車リマーケティングの大手。デジタル卸売マーケットプレイスや輸送・検査・リコンディショニングサービスを展開。2022年にADESA米国物理オークション事業を22億ドルで売却。北米・欧州・カナダ中心に展開。

事業内容

OPENLANE, Inc.は、中古車の卸売に特化したデジタル市場を運営する会社で、売り手が車両を出品し買い手がオンラインで入札・落札できるプラットフォームを主力サービスとしています。加えて、車両の写真・状態報告や検査、物流、名義処理、再整備など、販売を支える付帯サービスをワンストップで提供しています。

同社の主要顧客は商用車両を扱う法人とフランチャイズおよび独立系のディーラーで、収益は買い手と売り手からのオークション手数料と付帯サービスの料金が中心です。さらに、ディーラー向けの短期在庫担保融資を行う金融部門からの利息や手数料も重要な収入源になっています。

事業は大きくマーケットプレイスとファイナンスの二つのセグメントに分かれており、マーケットプレイスでは北米・欧州のオンライン市場、車両物流センターでの再整備や検査サービス、OEMや金融機関向けのプライベート販売サイトなどを展開しています。ファイナンス部門はディーラーの在庫回転を支えるフロアプラン融資を提供し、同社はデータ分析やモバイルツールを強化して顧客体験と流通効率の向上を図っています。

経営方針

同社は「世界で最も優れた中古車デジタルマーケットプレイスをつくる」ことを目指しています。成長の基本方針は、統合されたマーケットプレイスの拡大、技術への投資、顧客体験の向上の三本柱で、これにより取引量と収益性を高める計画です。2024年の調整後EBITDAは約2.93億米ドルで、マーケットプレイス部門が約1.345億米ドル、ファイナンス部門が約1.589億米ドルを占めており、取引構成はディーラー委託が約43%、商用委託が約57%となっています。資本政策面では、2019年以降の自己株式買戻し枠(最大約3億米ドル)が段階的に見直され、2024年10月に約500万米ドル増額・期限を2025年12月31日まで延長しています。

同社が重点的に投資しているのは、在庫と流通の強化、金融サービスの拡充、そして付加価値サービスの拡大です。具体的施策としては、複数あったプラットフォームを2023年に統合してOPENLANEブランド化し、ディーラー向けの使いやすいモバイル対応ソリューションや、リース満了車を含む独占的な在庫を提供する点で差別化を図っています。短期の在庫担保融資を行うAFC部門では、融資の付帯率(アタッチ率)を高めることで手数料収入と顧客の取り込みを進め、物流面ではカナダに15カ所の車両ロジスティクスセンター(敷地は平均約60エーカー)を活用して検査・再整備サービスを提供しています。

新市場開拓と事業拡大はM&Aと選別的な資産売却を組み合わせて進めています。2023年にManheim Canadaを約1.03億米ドルで買収し、カナダでの在庫・買い手・データ基盤を強化した一方、2024年には自動車キー事業を約7,980万米ドルで売却して約3,160万米ドルの売却益を計上しました。過去にはADESA米国物理オークション事業を2022年に約22億米ドルで売却しており、こうした取引を通じて事業ポートフォリオを最適化し、成長資金や投資を主要事業に再配分することを同社は目指しています。金融事業の拠点は約90カ所に広がり(うち9拠点はカナダのロジセン内、37拠点は他社施設内)、これをベースに融資ネットワークの拡大を図っています。

技術革新では、複数年にわたるプラットフォーム統合プロジェクトに資金を投じ、画像や検査、車両コンディション報告(写真・動画・音声を含む)やモバイルでのVIN読み取り機能、データ分析の高度化を進めています。これにより、遠隔でも実車に近い情報を提供して透明性と取引の迅速化を実現することを目指しています。また、サイバーセキュリティを経営課題として位置付け、最高情報セキュリティ責任者がCFO経由で監査委員会に四半期ごとに報告する体制や外部評価の活用、インシデント対応計画を整備している点から、技術投資と運用リスク管理を両立させる取り組みを同社は進めています。