AeroEdgeJP:7409

時価総額
¥279.6億
PER
163.7倍
航空機エンジン部品加工の有力企業。チタンアルミ製低圧タービンブレードの量産加工を展開。仏SAFRAN向けにLEAP用ブレード供給契約(総量の40%、2028年1月にシェア40%台後半へ変更予定)を締結。国内拠点からグローバルに供給。

事業内容

AeroEdgeは航空機エンジン向けの高付加価値部品の加工・販売を主力とし、特にLEAPエンジン用のチタンアルミ製低圧タービンブレードの量産加工を行っています。併せて、積層造形などの新しいものづくり技術の研究開発や、電動垂直離着陸機(eVTOL)やガスタービン向け部品の受託加工にも取り組んでいます。

主要な顧客はエンジンメーカーやそのサプライチェーンで、仏SAFRANとの契約によりLEAPエンジン向けブレードの一定割合を供給しています。売上はLEAPや当該エンジンを搭載する機種(Airbus A320neo、Boeing 737MAX)の生産数に連動し、契約で価格や発注見込みが示されること、材料が無償支給される仕組みが利益率を支える点が収益構造の特徴です。

同社は事業を単一の「加工事業」として構成しつつ、内部では航空機エンジン部品加工とその他加工の二分野で活動しています。最適な工程設計、専用工具の開発、特殊設備導入、非破壊検査や品質管理体制の整備を自社で行うことで、量産化が難しいチタンアルミ材の高精度加工を実現し、グローバルでも数少ない供給者の一角としての競争力を有しています。

経営方針

同社は「ゼロからイチを創る」という経営方針のもと、航空機部品の高付加価値化でグローバル成長を目指しています。中期では売上高、営業利益、EBITDAを主要な管理指標と位置づけ、LEAPエンジン向けチタンアルミブレードの量産拡大を通じて売上と利益の増加を狙っています。市場環境としてはAirbus A320neoやBoeing 737MAXの受注残高が大きく、生産拡大が見込まれる(2024年の年間引渡しはA320neoが602機、737MAXが260機、2025年6月末の受注残高はそれぞれ7,251機、5,415機)ため、需要追随が成長の下支えになる見込みです。加えて、仏SAFRANとの供給契約を2024年10月に更新しており、既存需要の安定化を図っています。

重点投資分野は生産能力の拡大と材料から加工までの垂直統合です。同社は2024年6月に新工場を竣工し、専用設備の導入や工程自動化を進めて生産性向上と原価低減に取り組んでいます。材料面では従来欧州の単一メーカーへの依存があったため、新材料の開発に数年を投じ、量産化にメドをつけることで供給リスクを低減します。具体的には新材料の量産を2027年6月期から段階的に開始し、2028年1月からはマーケットシェアをさらに拡大する計画です。また品質と管理面ではJISQ14001、JISQ9100、JISQ27001などの認証を活用して信頼性を高めています。

新市場の開拓と事業拡大については、チタンアルミブレード依存を低減するために得た技術・資金を使って他の航空機エンジン部品の量産化を進めています。新工場ではLEAP向け以外に2件の別部品の量産立ち上げを同時に進行中であり、eVTOL(電動垂直離着陸機)やガスタービン向けの受託加工も視野に入れています。航空案件は初期投資や立ち上げ期間が長いものの、量産化が進めば長期にわたる安定収益につながるため、設備投資を継続しつつ収益の多様化を図る方針です。資金面では内部留保の確保と金融機関との連携で調達の安定化を図ります。

技術革新への取り組みは研究開発と製造革新の両面で進められています。新材料の開発に加え、積層造形(いわゆる3Dプリンタ)技術を導入して部品設計や少量生産、整備・補修(MRO)への応用を検討しており、将来的には生産プロセスを根本から変えることを目指しています。並行して工程の自動化やトヨタ生産方式を取り入れた効率化を進め、原価低減とキャッシュ創出力の向上を図ることで、持続的な競争力と環境対応(CO2削減)を両立させようとしています。