河西工業JP:7256

時価総額
¥52.6億
PER
自動車内装部品の大手。子会社15社・関連会社4社と連携した内装部品の設計・製造・販売網を主要自動車メーカー向けに展開。欧州子会社全株式を2025年3月31日付で売却。日本・北米・中国・東南アジア・欧州で生産販売拠点を展開。

事業内容

河西工業は、自動車の内装部品の製造・販売を主力とする企業グループです。同社は天井材や内張りなどの内装部品を国内外の拠点で生産し、自動車メーカー向けに部品を供給しています。

主要な顧客は日系を中心とした自動車メーカーで、北米・メキシコ・欧州・アジアの生産拠点からグローバルに販売することで収益をあげています。同社は親会社からの部品支給を受けて子会社が製造し、その多くを同社を通じて得意先に納入する仕組みを取っています。

事業は自動車内装部品を中心とする単一セグメントで、国内では天井材製造や設計開発、保険代理や業務請負を行う子会社を抱えています。海外では北米や欧州、アジアの現地法人が現地の完成車メーカー向けに生産販売を行っており、なおドイツの関連会社は2025年3月末に売却しています。

経営方針

同社は中期経営計画「Kasai Turnaround Aspiration(KTA)」を2025年4月に公表し、2027年度を最終年度として経営基盤の再構築と成長軌道への回帰を目指しています。具体的には北米事業を中心とした構造改革により、2027年度の営業利益率を4〜5%に引き上げることを目標に掲げています。短期の業績見通しとしては、2026年3月期連結の売上高を2,000億円(表記は200,000百万円)、営業利益を35億円(3,500百万円)と見込んでおり、合わせて売上回収や在庫管理を改善して手元資金を創出することを重視しています(同社は売上から現金回収までの期間改善で自由に使える資金を増やす方針です)。

同社の重点投資分野は自動車の内装トリム製品における高付加価値化と生産効率の向上です。具体的施策として、企画から設計、試作、量産までを一貫して担う開発体制の強化や、世界各地の生産拠点での工程標準化によるコスト低減を進めています。また、新規事業創出と技術革新への投資へ経営資源をシフトし、人材育成を含めた人的資本の強化にも注力しています。加えて、2024年11月に日産自動車による優先株引受けが完了し、日産からの取締役招聘で製造や北米統括の体制強化が図られており、これが現地での立て直しを後押ししています。

市場開拓と事業再編では、既存の北米・メキシコ・欧州・アジアの生産販売ネットワークを核に成長市場での現地供給体制を強化する計画です。具体的には中国やアジアでの現地開発・生産を進める一方、採算の取れない事業や拠点は撤退・再編してポートフォリオを最適化する方針を示しており、実際にドイツの関連会社は2025年3月末に売却しています。非進出国では現地部品メーカーとの技術支援契約を結ぶなどして販売網を広げ、主要顧客である自動車メーカーの現地生産に追随する供給体制を維持します。

技術革新については「快適な移動空間の創造」を掲げ、音・質感・軽量化など内装の性能向上に向けた技術開発を推進しています。イノベーション開発ロードマップに基づき材料や成形技術の高度化、設計と生産の連携強化を図ることで、電動車を含む次世代車両に適した付加価値の高い製品を提供することを目指しています。加えて、R&D投資の拡大と人材への投資によって、新製品や新規事業の創出を加速させ、長期的な企業価値の向上につなげる方針です。