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冨士ダイスJP:6167
事業内容
冨士ダイスは、超硬合金を用いた耐摩耗工具およびその素材である超硬合金チップの製造販売を主な事業としています。同社は、国内外に7つの子会社を持ち、耐摩耗工具関連事業の単一セグメントで事業を展開しています。超硬合金は、タングステンカーバイドとコバルトなどを混ぜて高温で焼き固めた合金で、鋼よりも硬く、変形しにくい特性を持ちます。
冨士ダイスの製品は「超硬製工具類」、「超硬製金型類」、「その他の超硬製品」に分類され、輸送用機械、鉄鋼、非鉄金属、飲料缶、電機・電子部品など多岐にわたる分野で使用されています。また、同社は超硬合金以外の素材を用いた耐摩耗工具の製造販売も行っています。これにより、顧客の多様なニーズに応える製品を提供しています。
営業体制として、冨士ダイスは国内10箇所、アジア5ヶ国に営業拠点を持ち、約100名の営業担当者が顧客ニーズを把握する体制を整えています。技術サービス員や生産部門の技術者が営業をサポートし、超硬合金素材や加工方法の選定から製品管理まで高度な提案を行っています。
生産体制では、冨士ダイスは超硬合金の製造に必要な全ての工程をグループ内で完結できる一貫生産体制を整えています。国内に7箇所、海外に2箇所の生産拠点を持ち、営業部門と生産部門の緊密な連携を可能にしています。これにより、顧客の使用条件に最も適合した製品を効率的に生産しています。
研究開発体制では、冨士ダイスは粉末冶金技術を基軸に素材開発や加工開発を行い、新たな市場を創出する製品開発を進めています。特に素材開発では、金属粉末の種類や粒のサイズの組み合わせ、焼き固める条件に関する知見を活かし、新しい超硬合金素材の研究開発に注力しています。
冨士ダイスの主要製品には、ダイス、プラグ、自動車部品生産用金型、製缶金型、超硬合金チップ、鋼製品などがあります。これらの製品は、線材やパイプの生産、自動車部品の製造、飲料缶の生産など、幅広い用途で使用されています。特にダイスは、同社の社名の由来にもなっている主力製品です。
経営方針
冨士ダイスは、持続可能な成長を目指し、次世代自動車や半導体市場への対応を強化しています。特に、電動化やCASE(コネクテッド、自動化、シェアリング、電動化)への対応を進め、次世代自動車関連製品の拡販を成長戦略の一環としています。また、生成AIやデジタルトランスフォーメーション(DX)の進展に伴い、半導体市場の拡大を見据えた取り組みも行っています。
同社は「中期経営計画2026」を策定し、変化に対応できる企業体質への転換を図っています。国内事業を成長の基盤とし、海外事業の拡大を成長の牽引役と位置付け、新事業の実現を目指しています。具体的には、経営基盤の強化、生産性向上、海外事業の飛躍、脱炭素・循環型社会への貢献、新事業の確立を重点領域としています。
経営基盤の強化では、サステナビリティ経営を推進し、エネルギー関連向け新製品の開発やリサイクル活動を強化しています。また、品質保証本部の新設や社員エンゲージメント向上のための福利厚生制度の導入、情報基盤の整備を進めています。これにより、企業価値の向上を図っています。
生産性向上においては、国内生産部門での自動化・省人化を進めています。郡山製造所では自動化ロボットを導入し、無人加工による産出量の向上を実現しています。さらに、熊本製造所では自動加工ラインを導入し、手作業から自動加工への移行を進めています。
海外事業の飛躍では、中国、アセアン、インド、北米での市場拡大を目指しています。中国では新規営業拠点を開設し、展示会出展や商材拡充により新規顧客を獲得しています。アセアンでは生産性向上を図り、インドでは展示会出展を通じて知名度向上を図っています。
脱炭素・循環型社会への貢献として、次世代自動車関連製品や次世代エネルギー分野向け製品の開発を進めています。特に、グリーン水素の製造装置向け電極の発表など、環境に配慮した製品開発に注力しています。また、希少金属の使用量低減やリサイクル活動を強化しています。
新事業の確立に向けては、既存事業と新規事業の両輪での成長を目指し、新事業シーズの探索や事業化検討を進める組織を発足させました。M&Aや業務提携の検討も積極的に行い、新たな事業の柱を築くことを目指しています。