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S&JJP:5599
事業内容
S&J株式会社は、企業向けのサイバーセキュリティ事業を中心に、CSIRTやSOCの運営支援、サイバー事故対応、監視・運用サービスなどを提供しています。大企業や中堅企業で培った知見を活かしつつ、中小企業向けに国産で低価格のセキュリティ製品も開発しています。
同社の主要顧客は大企業や中堅企業で、これらにはCSIRT構築やSOC支援、インシデント発生時の対応を行っています。一方で、中小企業向けには手頃な価格の製品や監視サービスを販売し、自社販売とSIerなどの販売代理店を通じて顧客を拡大しています。多くのサービスは年間契約のストック型収益で安定した売上と高い継続率を確保しています。
同社の事業は単一の「サイバーセキュリティ事業」ですが、サービス別にはコンサルティングサービスとSOCサービスに区分しています。コンサルティングではセキュリティアドバイザー、インシデント対応、メール解析、脆弱性診断や海外製品の取り扱いなどを行い、SOC側では自社開発の監視基盤や他社製品の運用、ディレクトリサービス特化の監視エージェント、クラウド型のEDR製品「KeepEye」の監視運用などを提供しています。
経営方針
同社は外部環境の追い風を踏まえ、ストック型収益であるARR(年間継続収益)の拡大を成長戦略の中心に据えています。国内ネットワークセキュリティ市場は2021年度の5,779億円から2027年度には8,667億円へ拡大すると予測され(年平均成長率約7.0%)、同社はこの成長市場でシェアを伸ばすことでARRと売上高営業利益率の向上を図ることを目指しています。現在、SOC(監視・対応サービス)が収益の約74%を占めており、この既存基盤の強化と新規顧客獲得により安定した成長を実現しようとしています。
同社は投資の重点を、コンサルティングとSOCを連動させたサービス強化、人材確保・育成、営業力の増強に置いています。具体的には、現場対応や分析力を高めるための採用・社内教育の拡充、事業に精通した営業人員の増員、SIerや販売代理店とのチャネル強化を進めています。また「やりすぎず、不足しない」国内開発のソリューションを掲げ、クラウド環境対応やコミュニケーション型SOC(相談と監視を一体化した運用)で顧客ごとに最適化した提供を差別化要素としています。
新市場開拓では、中小企業向けの低価格な国内製品や監視サービスを軸に販売先を広げる計画です。自社開発のクラウド対応型EDR製品「KeepEye」やディレクトリ監視用のエージェントなど新規サービスを拡充し、既存顧客への深掘りによるクロスセルや有事対応の受注増で顧客あたりの売上を引き上げます。加えて、セミナーや講演を通じた知名度向上や販売パートナー網の拡大により、新規SOC契約の獲得を加速させる方針です。
技術面では、監視基盤や製品開発を国内で推進し、システムの安定稼働と緊急時の復旧時間短縮に注力しています。具体的施策として、データセンターやネットワークの冗長化、監視自動化の導入、EDRやエージェントの機能改善による検知精度向上を進め、SOCによる迅速な分析・対応と連携させます。財務面では借入がなく手元流動性は確保されているため、内部留保の増強や営業キャッシュ・フロー改善を通じて事業拡大に伴う資金需要に備え、総合的な体制強化を図っていきます。