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FusicJP:5256
事業内容
Fusicは、クラウドやAI、IoTなどの技術を組み合わせて企業や組織のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援するテクノロジーカンパニーです。同社はシステム開発や技術コンサルティングから運用支援までワンストップで手掛け、短期間の中小型案件を中心に迅速に価値を提供しています。
主要な顧客は民間企業に加え、官公庁、学校法人や地方自治体など幅広い組織で、プロジェクト型と継続型の収益を組み合わせています。同社は開発やコンサルを準委任契約で受注する一方、MSPによる保守・運用やSaaSの利用料でストック型収益を確保し、AWSの再販売は従量課金で収入に寄与しています。
事業は大きく「クロステクノロジーサービス」「MSPサービス」「その他サービス(プロダクト)」の三本柱に分かれます。クロステクノロジーはクラウド構築やIoTでデータを集めAIで分析して業務改善や新規事業を支援し、MSPは監視・障害対応・セキュリティ・コスト最適化などの運用を継続契約で担います。その他サービスでは360度評価の「360」や学校向け連絡の「sigfy」といったSaaSを提供し、利用者基盤を広げています。
経営方針
同社はテクノロジーを軸にした多角的成長を目指しており、売上高成長率や営業利益成長率の向上を主要目標としています。具体的には、エンジニア一人当たり売上高、顧客平均単価、取引顧客数の3指標を重視し、短期の案件受注とストック型収益(運用・保守やSaaS利用料)を組み合わせて収益基盤の安定化と拡大を図っています。背景には、国内パブリッククラウド市場が2024年の4兆1,423億円から2029年に約2.1倍の8兆8,164億円に拡大するとの見通しがあり、同社はこの成長機会を取り込み成長加速を目指しています。
重点投資分野としては、生成AIやAIエージェントに対応した開発体制への転換と人員強化を掲げています。具体的には、最初からAI活用を前提に設計・運用する「AI‑Native」な開発プロセス(AIを後付けにしない設計方針)へ全面移行するため、AIコーディングツールへの投資と採用ペースの引き上げで開発キャパシティを大幅に増やす計画です。同社はクラウド、IoT、AIを組み合わせるクロステクノロジー型の提供や、継続的に収益を生むMSP・SaaS(たとえば多面評価の「360(さんろくまる)」や学校向け連絡の「sigfy(シグフィー)」)を強化することで、単価引き上げと利益率改善を目指しています。
新市場開拓では、宇宙産業向けソフトウェア市場でのプレゼンス向上を明確な狙いとしています。同社は専任の事業推進体制を立ち上げ、宇宙関連企業とのパートナーシップやマーケティング投資を強化してマーケットリーダーを目指しています。また事業拡大の手段として、同業のロールアップ型M&Aや九州エリアの非テクノロジー企業の買収を通じた新市場参入を計画しており、成長投資と並行してM&Aを積極的に活用する方針です。
技術革新への取り組みは人材育成と組織制度の整備を中心に進めています。新卒・中途向けのOJTや勉強会、資格取得支援や報奨金制度を整備し、柔軟な働き方や女性活躍支援(厚生労働大臣の「えるぼし」三つ星取得)などで人材の確保・定着を図っています。併せてコーポレート・ガバナンスや内部管理体制の強化、健全な財務基盤の構築(金融機関借入やエクイティファイナンスの検討)にも取り組み、技術投資と事業拡大を支える体制整備を進めています。