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フリーJP:4478
事業内容
フリーは、スモールビジネス向けの統合型クラウド経営プラットフォームを開発・提供しています。同社はクラウド会計と人事労務を中核に、請求・販売管理、税務申告、電子契約や事業用カードなどのSaaS群をワンストップで整え、AIや自動化でバックオフィスの生産性向上を図っています。
同社の主要顧客は個人事業主と従業員1,000名以下の中小企業で、有料の継続課金(サブスクリプション)を中心に収益を構成しています。利用者数の拡大とARPUの上昇がARRの成長を支え、カードや金融サービス、追加機能のアップセルやM&Aで収益の幅を広げています。
事業はプラットフォーム事業の単一セグメントで、製品ラインは「freee会計」「freee人事労務」「freee販売」「freee申告」「freeeサイン」などで構成されています。APIとアプリストアで外部サービスと連携し、M&Aで機能を補完することで顧客の業務プロセス全体を上流から下流まで一貫して効率化する戦略を取っています。
経営方針
同社は中長期的に「成長の継続」と「収益性の両立」を目指しています。具体的には、事業からのキャッシュ創出力を示す調整後フリー・キャッシュ・フロー(調整後FCF)マージンを2028年6月期までに15%以上に引き上げることを目標として掲げ、対前期比売上高成長率と調整後FCFマージンの合計で40%に到達することを目安にしています。収益構造は有料の継続課金が中心でサブスクリプション売上高の比率は90%超、2025年6月期末の有料課金ユーザー企業数は606,533件、月次平均解約率は約1.1%と安定したストック型収益を確保しています。
同社は会計・人事労務を中核に据えた統合型クラウド経営プラットフォームへの重点投資を継続しています。従来の会計ソフトと人事労務ソフトを単にクラウド化するのではなく、経費精算や請求といった上流工程まで一体的に設計することで、バックオフィス全体を効率化する点で差別化しています。市場ポテンシャルとしてはクラウド会計・人事領域で約1.6兆円、提供モジュールを拡充してERP領域まで含めると約3.6兆円まで狙えると見込んでおり、業種別の機能追加や会計事務所とのパートナー拡大、クロスセルによるARPU向上を具体施策としています。
同社は新市場・事業拡大として、製品ラインの拡充と金融サービス展開を積極的に進めています。販売管理や電子契約、業務委託管理などのSaaS群(例:freee販売、freeeサイン、freee業務委託管理)をワンストップで揃えるほか、成長資金ニーズに応える「freeeカード Unlimited」の展開や、即日払いファクタリング等を提供するFREENANCEの完全子会社化(2025年9月)などM&Aでラインナップを強化しています。チャネル面ではWeb/SNSやインサイド/フィールドセールスに加え、会計事務所経由の導入を拡大することでユーザー基盤のさらなる拡大を図っています。
同社は技術革新としてAIと自動化の実装・収益化を重視しています。プロダクト強化のためにAIエージェントや6つの新AI機能を開発・実装し、業務負荷の大きい年末調整向けの「AI年末調整」は2025年度分での利用を想定してリリースしています。社内でもセールス業務やカスタマーサポートの自動化、AIコーディングによる開発生産性向上を進め、実務で効果を出した取り組みは外部評価(Forbes JAPANの受賞など)も得ています。並行して情報セキュリティ組織の整備や社内教育も進め、データを安全に活用しつつ顧客価値と収益性を高めることを目指しています。