モビルスJP:4370

時価総額
¥22.8億
PER
-49.3倍
コンタクトセンター向けSaaSの有力企業。数百席規模のチャットセンターに対応する生成AI搭載のオペレータ支援AI「MooA」やMOBIシリーズ、AIエージェントなどのチャット・ボイスボットを展開。国内中心に金融機関や官公庁向けに提供。

事業内容

モビルスは、コンタクトセンター向けに顧客対応の効率化と品質向上を目指したクラウド型ソフトウェア(SaaS)と、それを補う導入支援やデータ構築、カスタマイズなどのプロフェッショナルサービスを提供しています。同社はAIを活用した自動応答やオペレータ支援の機能を組み合わせたソリューションで、現場の業務負荷軽減を図っています。

主な顧客はメガバンクや大手メーカー、電力・ガスなどのインフラ企業、自治体など幅広い業種で導入実績があります。同社の収益基盤は月額・年額の利用料が中心で、加えて導入時のカスタマイズやトレーニング、教師データ作成などのプロフェッショナルサービスや、パートナー経由の再販・OEM供給も収入源になっています。

製品群は大きく三つに分かれており、問い合わせチャネルを多様化する「モビシリーズ」、オペレータの応対をAIで支援する「MooA」系、そして消費者向けに問い合わせから手続きまで自動化を狙うAIエージェント群(子会社による提供)を揃えています。同社はセキュリティ機能やKPIのモニタリング、導入コンサルを組み合わせることで、安定した既存事業の収益化と将来の成長への投資を両立させようとしています。

経営方針

同社はサブスクリプション型のリカーリング収益を成長の中心に据え、ARR(年換算の経常収益)やサブスクリプション売上高、契約数、契約当たり平均単価、解約率を重要指標として継続的な増収を目指しています。直近ではARRが約14.2億円(1,418,646千円)まで増加し、サブスクリプション売上高も約13.6億円(1,364,377千円)に拡大、全売上に占める比率は74%まで上昇しています。同社は大型の象徴的案件を獲得して契約当たり単価を引き上げると同時に、横展開で契約数を増やす戦略を採り、営業体制の拡充や代理店・OEMチャネルの強化、カスタマーサクセスの強化で解約率の抑止(直近の四半期で0.63%まで低下)を図っています。

重点投資分野は大規模コンタクトセンター向けのSaaSプラットフォームと、それを支える運用支援サービスです。同社は顧客企業と共同で機能設計を行うことで、モニタリングや統計、管理者支援、在宅運用対応など大規模運用に即した仕様を実装しており、オペレーション支援AI「MooA」による高速・高精度の文字起こしや企業ナレッジに基づく回答生成、要約・意図抽出などで現場の負担を軽減しています。さらに導入診断、カスタマイズ開発、トレーニング、KPI分析やAI教師データ作成、プロンプト調整といった「システム」と「伴走するサービス」を組み合わせることが差別化要因です。

新市場開拓と事業拡大については、生成AIを軸にした自動応答ソリューションとカスタマーエクスペリエンス領域の拡大を掲げています。具体的には「モビボット」「モビボイス」「maestra」といった製品で生成AI連携を強化し、オペレータ支援から消費者向けの自動応対・手続き自動化までをカバーする製品群で市場シェアを拡大する計画です。また直販に加え、BPO事業者やシステムインテグレータ、OEMパートナーを通じた販売網(既に40社超の販売代理店、富士通やトランス・コスモス等へのOEM供給実績)を活用し、金融やメーカー、自治体など多様な業界への横展開を進めます。

技術革新への取り組みとしては、生成AIや音声認識、自然言語処理の研究開発を強化し、R&D体制とエンジニア育成に注力しています。同社は自社開発のAI機能を既に製品化しており、最新技術のキャッチアップ、エンジニア教育、R&D専門組織の強化を進めることで製品競争力を維持・向上させる方針です。加えて、情報セキュリティやガバナンス、内部監査体制の整備、人材確保のための採用・育成体制の強化にも取り組み、技術と組織の両面から事業拡大を支える姿勢を明確にしています。