オリオンビールJP:409A

時価総額
¥9.9億
PER
16.9倍
酒類清涼飲料と観光・ホテル事業の有力企業。1957年創業のブランド『オリオン・ザ・ドラフト』等のビールやRTDを展開。2002年のアサヒとの資本業務提携、2024年6月10日の近鉄グループとの資本業務提携。沖縄県内・県外、台湾・オーストラリア・韓国・米国・香港・中国での展開。

事業内容

オリオンビールは、沖縄発のブランドを掲げる総合飲料・観光企業で、主力は「オリオン・ザ・ドラフト」を中心としたビール類の製造・販売を行っています。同社は沖縄の原料や気候に合わせたすっきりとした味わいの商品を展開し、ブランド体験を重視してホテル事業やイベント運営にも力を入れています。

主要な顧客は沖縄県民と観光客で、業務用の飲食店向けと家庭用の量販店向けという二つの販売チャネルが収益の中心です。同社は沖縄県外や海外への販路拡大、アサヒビールとの提携による流通強化、ECによる直販やブランドライセンスによる収入も合わせて収益基盤を作っています。

事業は大きく酒類清涼飲料事業と観光・ホテル事業に分かれており、ビール・発泡酒・缶チューハイ・洋酒・清涼飲料の製造販売に加え、泡盛などを手掛ける子会社もあります。同社は名護の自社工場で生産を行い、ホテルや商業施設の保有・運営、不動産賃貸を通じて観光と飲料を結びつける取り組みを進めています。

経営方針

オリオンビールは、2025年4月からの5年間の中期経営計画で「沖縄と共に循環成長するビジネスモデルの強化」を掲げ、収益性改善を重視しています。具体的にはROE15%以上を目標とし、観光需要の回復を取り込むことで沖縄の強いブランド力を成長の基盤にしています。直近の実績では海外事業が年率30%超で成長しており、RTD(缶チューハイ等)は過去6年で年平均36.8%の成長を示すなど、新たな需要を取り込むことで中長期的な売上拡大を目指しています。

重点投資は高付加価値商品の拡充と観光・体験の強化にあります。泡盛やクラフトジンを手掛ける石川酒造場は高い営業利益率(約26.6%)を実現しており、フルーツワイン「Southern Cross Winery」やノンアル商品の展開など商品ポートフォリオを広げています。加えてホテル事業やイベント、沖縄体験を通じたブランド接点を強化し、県内約7,400店の飲食店のうち5,800店にビールサーバーを設置するなど観光客・地元双方へのタッチポイントを活用して差別化を図っています。近鉄グループとの資本業務提携や、2025年開業の大型テーマパークとの連携も具体的施策です。

新市場開拓では国内外チャネルの拡大を明確に打ち出しています。県外販路やEC(直販・定期会員獲得、顧客管理の強化)を伸ばす一方、海外では台湾で樽瓶への集中投資、オーストラリアや米国では小売・ホテルルートの拡大、韓国ではプレミアム戦略など地域ごとに戦略を分けて展開します。数値面では県外事業や海外事業、ECは近年高いCAGRを示しており、例えば海外売上高は2025年3月期に約20億円規模、ECは約10億円規模まで拡大しており、ライセンス製造(欧州は2025年開始予定)を含めて海外売上比率の拡大を同社は目指しています。

技術革新と業務効率化にも注力しており、生産・購買・物流・バックオフィスのオペレーション改善や原価低減活動を進めています。ホテル・観光分野ではレベニューマネジメントの高度化や顧客動線のデジタル化に取り組み、生産性向上を狙います。また、EC強化のための顧客管理システム導入や商品戦略の最適化、環境マネジメントの強化といったサステナビリティ基盤の整備を通じて、原材料やエネルギーコスト上昇、2026年の税制変更リスクにも対応する構造を作ろうとしています。