IACEトラベルJP:343A

時価総額
¥78.7億
PER
17.9倍
法人向け出張手配を中心とする旅行業の有力企業。クラウド出張手配システム「Smart BTM」(2021年10月)や「Travel Manager」(2022年)を展開。2025年3月期取扱高23,949百万円。国内外に展開、カナダとメキシコに子会社、在日米軍基地内に3店舗。

事業内容

IACEトラベルは、主に法人顧客を対象に業務出張の包括的なマネジメントサービスを提供しています。同社は国内外の航空券や宿泊の手配、査証代行、精算代行、危機管理や出張データの提供をワンストップで行い、独自のクラウド出張手配システム「Smart BTM」を軸にオンライン予約を強化しています。

同社の主要顧客は企業と中央省庁などの官公庁で、取扱高の大部分を法人向けのBTMサービスが占めています。収益は予約件数ごとの手数料や出張管理システムの利用料が中心で、顧客企業との継続取引が安定した収入を支えています。

同社は事業を複数のサービス群で展開しており、主力のBTMサービスに加えて官庁向け手配、個人向けパッケージ旅行、在日米軍向けサービス、海外拠点による現地手配などを運営しています。BTM内ではSmart BTMのほか小規模向けのEasy Bookingや法人向けのTravel Managerなどを組み合わせ、オンラインとオペレーターによるハイブリッドな支援で利便性と安全性を高めています。

経営方針

同社は「ビジョン2030」の掲げる目標のもと、BTM(業務出張マネジメント)領域で「最も多くの企業に利用されるデジタルサービス」になることを目指しています。財務目標としては売上高営業利益率20%以上、自己資本利益率(ROE)10%以上を目標水準に設定しており、事業KPIとしてMAU(月間利用企業社数)や予約件数、売上単価を重視しています。実績ではMAUを2024年の1,002社から2025年に1,125社へ、予約件数を93,273件から104,308件へ増加させる計画を掲げており、これらの数値達成で収益性と成長を両立させようとしています。

重点投資分野はデジタル化と営業・マーケティングの強化です。同社はコアとなるクラウド出張手配システム「Smart BTM」に新機能を継続的に追加しながら、24時間365日のサポートデスクや経験豊富なオペレーターによるハイブリッド対応を維持することで差別化を図っています。また、手数料収入の拡充を狙い、既存の手配商材拡充や新サービス投入を通じて手数料収入の多様化を進め、SaaS型の出張管理ツール「Travel Manager」を新たな収益源として育成しています。加えて、企業側の会計・業務フローと連携する仕組みを強化し、導入障壁を下げる施策を実行しています。

新市場や事業拡大では、官庁・公務や在日米軍向けの専門サービスをさらに強化する一方で、海外拠点を通じた法人向けサービスの拡大にも注力しています。具体的にはカナダ拠点での日本向けインバウンド需要の取り込みや、個人事業主・小規模事業者向けに操作を簡易化した「Easy Booking」によるSMB市場の開拓を推進します。加えて、企業顧客の従業員向けプライベート旅行対応などBTMとのシナジーを活かしたクロスセルで顧客単価を引き上げ、営業力強化とデジタルマーケティング投入で新規企業獲得を拡大していきます。

技術革新への取り組みとしては、Smart BTMの機能強化と業務自動化を軸に、顧客データの一元化や会計・勤怠システムとのデータ連携を進めることで処理工数を削減します。出張稟議や経費精算のワークフロー統合、GPSを使った危機管理機能、そしてSaaS型サービスの運用基盤整備により、顧客の業務効率化とリスク低減に寄与する設計です。同社はこれらの技術投資を通じてMAUや予約件数といった主要KPIの改善を図り、デジタルと有人サポートの両輪で競争優位性を高める方針です。