三ツ知JP:3439

時価総額
¥32.4億
PER
16.8倍
自動車部品の有力企業。冷間鍛造技術をコアとしたカスタムファスナーの製造・販売、シート用・ウインドウレギュレーター用・ロック用部品を展開。子会社7社体制で日本、タイ、米国、中国、インドの5地域で生産・販売拠点を展開。

事業内容

三ツ知は、自動車向けのカスタムファスナーの製造・販売を主力とする企業グループです。同社は冷間鍛造をコア技術に、車体向けの高精度な締結部品を中心に生産しており、シートやウインドウレギュレーター、ロック機構などの機能部品を提供しています。

主要な顧客は完成車メーカーや一次サプライヤー(部品メーカー)で、完成車向けの量産供給や受注生産を通じて売上を確保しています。同社は国内の生産拠点に加え、タイ、米国、中国、インドの現地法人を通じてグローバルに供給しており、海外事業が収益の重要な柱になっています。

事業の中核は自動車用部品で、具体的にはシート用のアームやピン、ウインドウ用のシャフトやローラー、各種ロック部品、高強度ボルト、足回り部品、エアバッグ関連の安全部品など幅広い製品群を持っています。金型加工を担う子会社が精密金型の設計・製造を行い、冷間鍛造と金型技術を組み合わせることで製品の高付加価値化と生産性向上に取り組んでいます。

経営方針

同社は中期経営計画「ビジョン24」に基づき、短中期での業績回復と成長を目指しています。具体的には第65期(2027年6月期)に連結売上高140億円、営業利益率5%を確保する体制を構築し、第67期(2029年6月期)には連結売上高160億円、営業利益率5.5%を目標としています。現状は営業利益率が約0.8%、PBRは0.29倍と低迷しているため、生産性向上や収益構造の改善を通じて安定的な5%台の利益率を定着させることを狙いとしています。

重点投資分野としては生産設備と海外事業の最適化に資本を振り向けています。冷間鍛造と金型設計をコアに据え、難加工品への対応力を高めることで技術面での差別化を図る方針です。タイでは大型設備投資で新規受注品の立ち上げを確実に利益化し、米国では基軸商権獲得に向けた設備投資、インドでは新会社設立と量産体制の確立を進め、中国は経営のスリム化を加速させるなど、地域ごとに投資を配分して収益性を高めます。また消耗工具費の削減や人時生産性向上、三ツ知グループと協力会社を含めた設備の最適再配置も進めています。

新市場開拓では、自社開発の特殊ファスナー「クイックシリーズ」や水素配管コネクターの用途拡大を軸に、自動車以外の建設・土木向け締結部品など新たな需要領域へ進出を図っています。外部ベンチャー拠点に常駐して情報収集や技術連携を行うほか、顧客ポートフォリオと製品ポートフォリオを見直し、日系以外の海外メーカー開拓を強化して新規顧客を獲得する戦略を取っています。これにより既存の完成車向け量産依存からの脱却を目指しています。

技術革新への取り組みとしては、製造現場の見える化から始めるデジタル化(DX)を推進し、間接業務の合理化を目的とした新基幹システムの稼働やDX推進メンバーの選抜を実行します。冷間鍛造と精密金型技術の融合で付加価値を高める研究開発を継続し、難加工品で「ダントツ」の技術力を築くことを目指しています。併せてカーボンニュートラル推進チームを中心に環境負荷低減にも取り組み、長期的な競争力と企業価値向上につなげていきます。