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稲葉製作所JP:3421
事業内容
稲葉製作所は物置・ガレージ・倉庫などの鋼製収納設備とオフィス家具を製造・販売する企業です。同社は家庭用から業務用まで幅広い収納・スペースソリューションを主力に、製造から販売、物流までグループで一貫して事業を展開しています。
同社の主要顧客は一般消費者のほか建築業者や法人、自治体などで、代理店・販売店網と連結子会社を通じた販売が売上の基盤になっています。オフィス家具分野ではOEM受注に基づく直接販売も行い、グループ内の物流・施工機能で供給体制を支え、収益の安定化を図っています。
事業は「鋼製物置セグメント」と「オフィス家具セグメント」の二本柱で構成され、鋼製物置は小型から大型の物置、ガレージ、倉庫、ゴミ保管庫などを揃えています。オフィス家具はデスク、チェア、壁面収納やサイレントブースなどのラインを持ち、関連会社による配送センター運営や施工支援で販売後のサービスまでカバーしています。
経営方針
同社は売上高4,285億円(42,850百万円)・営業利益24.6億円(2,460百万円)、経常利益28.0億円(2,800百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益18.7億円(1,870百万円)を翌連結会計年度の目標値に掲げ、売上高経常利益率6.5%、減価償却前営業利益(EBITDA)4,180百万円、売上高に対するEBITDA比率9.8%を重視しています。これにより収益力とROEの改善を図り、創出したキャッシュを設備投資や成長投資、株主還元に回すことで中長期の企業価値向上を目指しています。
重点投資分野は生産設備と物流の効率化で、国内一貫生産体制の維持・強化に資本を投入しています。原材料の加工から塗装・組立・出荷まで社内で完結することで内製比率90%超を実現し、品質とコスト競争力を確保しています。製品面では高耐風圧のガレージ機種や建築対応製品「FORTA」、多用途の居住性を持つ「コモ・スペース」など差別化商品を投入しており、鋼製物置市場での国内トップシェアやブランド認知を武器に競争優位を維持しています。営業面では全国22拠点の配送センターと延べ9万人以上が参加する勉強会を通じて顧客の声を収集し、信頼構築と製品改良に結び付けています。
新市場開拓と事業拡大では、オフィス家具の需要を取り込むため生産拠点の再編を進めています。オフィス家具生産を犬山から首都圏近接の柏工場へ2026年1月までに移管し、柏の一部物置生産を富岡工場へ2026年7月に移管するための設備増強を行います。既に犬山でのガレージ生産ライン新設を2024年7月に完工させるなど生産拠点の分散による事業継続性の確保と西日本向け物流効率化を実現しており、こうした施策で物流負荷低減と供給安定化を図りつつ、オフィス改装需要や公的機関・法人向けの大型収納ニーズへ対応を拡大していきます。
技術革新では「顧客視点」に基づく実用的な改良を継続しています。業界で先んじて採用した組立方式や天板の素材変更、樹脂ベアリングを用いた引き出しといった実績に加え、自社設計の専用加工機や塗装・溶接のロボット導入で生産合理化を進めています。JIS規格を上回る独自の過酷試験を実施し耐久性と安全性を担保するほか、営業・技術・製造の連携で得た現場の声をリアルタイムに開発に反映させる仕組みを強化し、品質と独自性の両面で差別化を図っています。