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ダイナミックマッププラットフォームJP:336A
事業内容
ダイナミックマッププラットフォーム株式会社は、高精度の3次元地図データ(HDマップ)を研究・開発し、自動運転や先進運転支援向けに整備・提供しています。同社はこれらの地図データを自動車メーカー等にライセンス供与し、道路変化に合わせたデータ更新サービスも合わせて提供しています。
主要な顧客は自動車メーカーや地図・車載システムメーカー、半導体メーカーに加え、自治体や道路会社、損害保険会社などの法人です。収益構造は大きくプロジェクト型(計測・整備や官公庁案件の受注)とライセンス型(量産車搭載の台数連動ライセンス料やメンテナンス料、法人向けデータ利用料、Viewer/Guidanceの課金)に分かれており、両者を組み合わせて業容を拡大しています。
事業は国内外に展開し、「オートモーティブビジネス」と「3Dデータビジネス」の二本柱で構成しています。オートモーティブは道路計測から図化・統合まで行い車載向けHDマップの整備・更新とライセンス供与が中心で、3Dデータは高精度点群データの可視化ツール(Viewer)や除雪支援などのGuidance商品を自治体・企業向けに提供しています。加えて政府プロジェクトやデジタルインフラ整備にも参画し、ダイナミックマップを産業共通のデータ基盤に育成しようとしています。
経営方針
同社は売上高の中長期的な成長と早期の黒字化を目指しています。過去の実績として2020年から2025年にかけて年平均成長率(CAGR)で約52%を達成し、連結売上高は2024年に5,567百万円、2025年に7,465百万円まで拡大しました。重要指標として売上高、ライセンス型売上高、調整後EBITDAを掲げ、調整後EBITDAは2024年度の△2,203百万円から2025年度は△609百万円へと赤字幅を縮小しており、ライセンス比率を高めることで粗利率の改善とキャッシュ創出を進める方針です。
同社はデータ取得・整備と高精度化への重点投資を差別化戦略の中核に据えています。2025年3月時点で150万km超のカバレッジを保有し、北米で1,200,000km、欧州で255,000km、日本の高速道路等で33,000kmを整備している点は強みです。技術面では衛星測位を補正して数センチ単位の精度を出すRTKなどの測位・計測技術や、得られた点群データを自動的に図化・統合する工程の高度化を進め、36車種への量産搭載といった自動車メーカーとの実績を基に他社が模倣しにくい高品質なデータを提供することで競合優位性を確保しています。
同社は自動車向けHDマップに加えて、インフラ、輸送、政府・防衛といった3Dデータビジネスの拡大を図っています。市場面では自動車分野以外のデジタルマップ市場がグローバルで約3.4兆円、当社が重点展開する北米・アジア・パシフィックのインフラ・輸送・政府分野だけでも約1.6兆円のSAMが見込まれており、北米のさらなるカバレッジ拡大や中東展開、自治体向けの除雪支援・維持管理、MaaS(地域移動サービス)など用途横展開でライセンス収入やViewer/Guidanceの商品化を進めていきます。加えてTier1や半導体、AI企業との連携やM&Aを通じて販路と技術を横展開する計画です。
同社は技術革新を通じたコスト競争力の向上にも注力しています。具体的には自動図化や変化点検知の自動化によるデータ整備・更新コストの削減、衛星画像や車両プローブ等の多様なデータソースの活用、Dynamic Map Platform North Americaとの技術統合によるプロダクト生成効率化を推進します。また、生成型AIや各種解析技術を取り入れて地図の鮮度と安全性を高め、データ連携基盤を構築して道路管理情報や工事情報と結び付けることで、防災・インフラ維持管理やV2Xといった新たなサービス提供につなげることを目指しています。