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ビジュアル・プロセッシング・ジャパンJP:334A
事業内容
ビジュアル・プロセッシング・ジャパンは、企業や公共機関が使うウェブサイト、ECサイト、カタログ、映像、出版物などの媒体とそこで使うコンテンツの制作・管理・配信を支援するDXソリューションを手がけています。同社は自社プロダクト「CIERTO」を中核に、デジタル素材を一元管理するDAM機能を中心にコンテンツの利活用を効率化しています。
主要な顧客は製造、小売、通販、大手出版社、メディアや公共機関など多業種にわたり、業務の規模が大きい組織に導入されることが多いです。収益は月額のサブスクリプションと導入時のライセンスや初期技術費用、保守やカスタマイズなどの受託収入を組み合わせており、導入後の定常収入が全体の約半分を占める安定した構成です。
事業は単一のDXソリューション領域に集約しており、主力のCIERTOは「CIERTO DAM」と商品情報管理の「CIERTO PIM」をセットで提供してコンテンツと商品データを連動させます。加えて、制作進行管理のAPROOVE WMや複数媒体への配信を支援するWoodWing Studioといった海外製品を連携オプションとして扱い、API連携や導入時のカスタマイズ、運用保守まで含めたソリューションを提供しています。
経営方針
同社は成長戦略の中心に「継続的な収益の拡大」を据えており、サブスクリプション型ビジネスの拡大でARR(年間定常収益)を伸ばすことを目指しています。直近ではARRが675,691千円から822,901千円へ増加し、新規CIERTOライセンス数も26本から31本に増加、解約率は2.40%から1.74%へ低下しています。世界のデジタル資産管理(DAM)市場は2028年に約87億800万米ドル、年平均成長率13.0%と予測されており、同社はこの成長トレンドに乗って国内外でのシェア拡大を狙っています。
同社は重点投資分野として製品強化とパートナー連携を掲げており、差別化は自社開発のCIERTO(DAMと商品情報管理を一体化した製品)と30年の業務ノウハウにあります。具体的には製品内部にAI学習モデルを組み込む開発を進め、外部のECやコンテンツ管理システムとのAPI連携を強化することで、導入企業の業務に合わせた柔軟なシステム構築を実現しています。加えて、特許技術であるファイルシステム監視機能(FSモニター)や手厚い導入コンサルティング・サポート体制を活かして、大規模組織向けの信頼性で差別化を図っています。
新市場開拓と事業拡大では、特にAPAC地域を重点市場と位置づけて現地調査やビジネスパートナーの発掘に注力しています。外部評価でも「Asia Pacific Leader」として高評価を得ていることを足がかりに、国内ではCMSベンダーとのOEM提供や販売代理店網の拡充を進め、海外では現地パートナーとの協業で販売拠点を整備する計画です。マーケティング面では展示会や導入事例セミナー、SEO強化に加え、マーケティング自動化ツールの導入で見込み顧客との接点を継続的に管理し、受注率の向上を図っています。
技術革新への取り組みは同社の中核施策であり、2017年からのクラウドやAIサービス連携の経験を基盤に、2024年にはCIERTO内部に150以上の学習済みモデルを搭載する汎用AIの開発キットを組み込みました。これにより自然言語検索、類似画像検索、自動タグ付け、OCRや音声のテキスト化といった自動化機能を提供しており、今後もAI機能の強化と外部ストレージやECプラットフォームとの連携開発を進めることで、顧客の作業効率化とコスト削減に貢献する製品を目指しています。