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GVA TECHJP:298A
事業内容
GVA TECHは、法律業務にITを組み合わせたリーガルテック事業を手掛け、企業や個人の法務業務を効率化するサービスを提供しています。主力は自社開発の法務プラットフォーム「OLGA」と、商業登記のオンラインサービス群で、法務のデジタル化と手続きの簡便化を目指しています。
同社の主要顧客は企業の法務部門や法律事務所に加え、法務機能を持たないスタートアップや中小企業が中心です。収益は、OLGAの月額利用料や導入時の初期費用といった継続収入に加え、登記事業での手続きごとの利用料やオプション料金といった取引型の収入で構成されています。
同社のOLGAは、契約審査や契約管理、法務データの一元管理、チャット形式の法務支援といった機能をモジュール単位で提供し、企業のニーズに応じて個別導入が可能です。登記事業では、変更登記の書類を自動作成する「GVA法人登記」や、履歴事項全部証明書をWebで簡単に請求できる「GVA登記簿取得」を展開し、自動反映や郵送代行などの利便性向上機能で利用拡大を図っています。
経営方針
同社は成長戦略の中心にリーガルテックのSaaS事業「OLGA」と登記事業「GVA法人登記」を据え、売上と継続収入の拡大で企業価値を高めることを目指しています。具体的には、年間の継続収入を示すARRは2024年12月末時点で696百万円に達しており、顧客数は同時点で620社、顧客平均単価は93千円となっています。短期的にはユーザー獲得と機能投資により営業赤字が続くものの、ストック型収益の積み上がりで営業損失率は改善しており、同社は早期の当期純損失解消と営業キャッシュ・フローの黒字化を目指しています。
重点投資分野として同社はOLGAの機能連携と顧客接点の拡充に注力しています。これまでモジュールごとに提供していた「契約管理」「契約レビュー支援」「法務データ基盤」「AIによる法務支援」などの連携を強化し、法務案件の受付から審査までを一気通貫で処理できるようにすることで差別化を図っています。実際に複数モジュールを導入している企業の顧客平均単価は2024年12月末時点で198千円と高く、モジュール連携によるアップセルが収益向上につながる施策です。また、システムの安定稼働と情報セキュリティの強化(ISO/IEC 27001:2022に基づく体制構築)にも投資を行い、重要情報を扱うサービスの信頼性を高めています。
新市場開拓では、対象を法務部門中心から事業部門や中小企業、最終的には個人ユーザーまで広げる方針です。法務リテラシーが低い事業部門でも使える依頼者アカウントやAIチャットボットを既にリリースしており、全社導入を促進することで利用者数と顧客単価を同時に押し上げる狙いです。市場環境としては国内SaaS市場が2023年の1.41兆円から2027年に2.09兆円へ拡大する見込みで、リーガルテック市場自体も2021年の244億円から2026年に731億円へ成長すると見積もられています。さらに同社はOLGAの全社向け機能を当てはめた独自の算定で約4,886億円の市場規模を想定しており、登記事業側でも弁理士・行政書士・社労士領域など新プロダクトを横展開して一顧客あたりの利用回数と売上を増やす計画です。
技術革新への取り組みは同社の競争力の根幹であり、AIを含む研究開発と優秀な人材の確保を継続的に進めています。具体的にはOLGAのAI法務アシスタントや自動化機能の改善を継続し、ユーザー体験を高めて工数削減を実現することで導入のハードルを下げています。人材面では開発人材の採用や労働環境の整備を進め、研究体制の強化で最先端技術を取り込むとともに、システム運用体制の強化とセキュリティ投資により、大量の利用者増加にも耐えうる安定的なサービス提供を目指しています。