一正蒲鉾JP:2904

時価総額
¥139.2億
PER
18.3倍
連結子会社2社を擁する食品の製造販売と物流・倉庫の有力企業。水産練製品・惣菜の製造販売ときのこ生産を主力とする製品群の展開。報告セグメントを従来2区分から3区分に変更、運送・倉庫事業の比重増加で業務効率化の推進。国内中心に生産・保管・配送を実施、販売チャネルは卸売・小売中心の事業展開。

事業内容

一正蒲鉾株式会社は、水産練製品(かまぼこ等)や惣菜、きのこの生産・販売を主な事業としています。同社は自社工場での製造に加えて、製品の流通に関わる物流や関連サービスも手がけています。

主要な顧客は小売業や食品卸、外食事業者などで、家庭向けパッケージ商品と業務用商品の双方から売上を得ています。同社は製品販売が収益の中心であり、近年は運送・倉庫事業の重要性が高まっていて、物流サービスも収入源になっています。

事業は「水産練製品・惣菜事業」「きのこ事業」「運送・倉庫事業」の三つに分かれています。水産練製品・惣菜事業は国内外での練り物や惣菜の製造販売、きのこ事業はしいたけなどの生産販売、運送・倉庫事業は主にグループの製品や原材料の輸送・保管を担っています。

経営方針

同社は「成長軌道への5年」(2021年7月〜2026年6月)を掲げ、収益力と財務基盤の強化、海外事業の拡大を成長の柱としています。第二次中期経営計画の最終年度における当初の数値目標は売上高400億円、営業利益26億円、自己資本利益率(ROE)10%、投下資本利益率(ROIC)9%などでしたが、原材料費高騰やきのこ事業の業績低迷などを受け、2026年6月期の目標は売上362億円、営業利益11億円、ROE5%、ROIC4%へ下方修正されました。同社はこうした環境変化に対応しつつ、長期ビジョン「ICHIMASA30」(2045年度)に基づき中長期での企業価値向上を目指しています。

同社は重点投資分野として商品力と生産効率の両面を強化しています。具体的には主力商品の改良や「サラダスティック」など主力品の販売強化、減塩や高たんぱくの即食商品、国産原料を活用した高付加価値商品や「ネクストシーフード」シリーズの開発を進めています。また品質保証体制の強化やサステナビリティ対応を通じてブランド差別化を図っており、2024年7月に設置したマーケティング開発本部で商品開発と販売を一気通貫で連動させる施策も進めています。同社はこれらの施策で「安全・安心」で「健康機能」を備えたブランドを確立することを目指しています。

新市場開拓では海外での生産・販売体制を強化しており、2015年設立のインドネシア合弁会社については2024年12月に追加出資で連結子会社化するなど東南アジアを基点に北米や中東への拡販を推進しています。さらに水産練製品・惣菜事業、きのこ事業、そして「第3の事業」を三本柱とする構造を目指し、新規専担部署を置いて新事業探索に着手しています。物流・倉庫・運送事業の重要性も高め、グループの流通網を活かした市場チャネル拡大により、国内市場の縮小を補うことを同社は狙っていますが、対外リスク(相互関税や輸入規制)への注視も継続しています。

技術革新では工場の合理化・省人化を最重要課題と位置づけ、人工知能やセンサーを用いた生産管理、IoTでの設備最適化によるスマートファクトリーの実現を目指しています。FA(工場自動化)専任の組織を通じてAI・IoT導入を加速し、生産管理システムによる品質向上や業務プロセスのデジタル化で生産性向上を図るとともに、営業面では顧客データ活用やオンライン商談の活用で効率化を進めています。加えて魚肉たんぱくやまいたけの機能性に関する学術的共同研究やフードテックの応用検討を進め、技術と商品力で競争優位を築くことを同社は目指しています。