グロービングJP:277A

時価総額
¥670.2億
PER
26倍
戦略×DXコンサルティングとSaaS型クラウドプロダクトの有力企業。Joint Initiative型コンサルとAI搭載のセールススイート、スペンドインテリジェンスを展開。Laboro.AIと協働し2024年5月にX-AI.Laboを設立。第10期でJI案件比率43.6%。日本・中国中心に展開。

事業内容

グロービング株式会社は、準委任契約に基づくコンサルティングサービスと各種SaaSを中心としたクラウドプロダクトの二つの事業を展開しています。同社はクライアントの内部に入り込む「外部視点を持ったインサイダー」としてCxOクラスに伴走し、戦略とデジタルを融合したワンストップでの変革支援やJoint Initiative型の事業共創に取り組んでいます。

主な顧客は自動車やエネルギーなどの大手企業や、成長・再編を目指す企業で、コンサルティング契約の報酬とクラウド製品の利用料が主な収益源です。同社のコンサルティング売上のうち約43%がJoint Initiative型で、AIやプロダクトを活用して人手依存から脱却し、スケールする収益構造を目指しています。

事業はコンサルティング事業とクラウドプロダクト事業に分かれ、前者ではJI型(出向や共同で事業責任を担うハンズオン型)と従来型(戦略・DX・AIの立案・実行支援)の両方を提供しています。後者ではセールススイート(売上データの可視化による営業生産性向上)とスペンドインテリジェンススイート(支出の見える化・最適化やAIによる不正検知・自動発注による効率化)を中核に開発を進め、社内のAIチームやグループ会社と連携して産業実装を強化しています。

経営方針

同社は中長期的にコンサルティング事業を軸としつつ、企業価値の持続的向上を目指しています。具体的には「コンサルタント人員数」の増加や「コンサルタント平均年収」の向上、「Joint Initiative(共同事業)型売上比率」の拡大、そしてAI関連売上の拡大を重要指標に据えています。直近ではコンサルタント人員が前期の119人から178人に増え、平均年収も1,974.5万円相当(19,745千円)から約2,012万円相当(20,120千円)へ上昇しました。売上面ではJoint Initiative売上比率が29.9%から43.6%に、AI関連売上比率が11.3%から30.0%へ伸びており、同社はこれらを通じて売上高・営業利益の拡大を図っています。

重点投資分野はコンサルティング人材の確保・育成とクラウド製品の開発にあります。同社は「外部視点を持ったインサイダー」としてクライアントの経営トップと伴走するハンズオン型サービスを差別化要因と位置付け、CxOクラスに入り込むJoint Initiative型の案件を拡大しています。そのために中途採用の強化やリファラル採用の推進、定着のための研修や待遇改善を進め、大手戦略ファーム出身者の採用などでコンサルタント平均年収の底上げを狙っています。

新市場開拓と事業拡大では、コンサルティング成果のプロダクト化と外販によるスケール化が柱です。Joint Initiative型売上高は前期の1,248,733千円から3,600,307千円へ拡大し、AI関連売上も470,341千円から2,477,993千円へ増加しています。同社はセールス領域の可視化ツールや支出最適化ツールなどのクラウド製品を中核に据え、クライアントとの共同開発を通じて外販を加速させ、人員数に依存しない収益構造の確立を目指しています。

技術革新への取り組みとして、同社はAI(人工知能)を活用した業務効率化と製品化を戦略の中核に据えています。2024年5月にAI先進企業との合弁でX‑AI.Labo株式会社を設立し、AIの社会実装や顧客共創を進めています。将来的にはコンサルティング知見を反映した自社AIプロダクトで収益化を図り、「コンサルタントの知見をAIで支援する」モデルによる非連続的成長を目指しており、開発スピードや製品の使い勝手、情報セキュリティといった点にも重点的に投資しています。