ククレブ・アドバイザーズJP:276A

時価総額
¥160.8億
PER
19.5倍
企業向けCREソリューションと不動産テックの有力企業。事業用不動産マッチング『CCReB CREMa』やAI解析『CCReB AI』を展開。2020年10月開始のCREMaが累計約5万件の情報蓄積、特許登録(第6908308号、第7432980号)を保有。国内中心に展開。

事業内容

ククレブ・アドバイザーズは、企業が保有する事業用不動産(オフィス、工場、倉庫など)に対して、AIを中核とした不動産テックを活用しながらワンストップのソリューションを提供しています。具体的には、企業向けの不動産戦略立案やファンド組成、物件の売買・賃貸仲介、開発やプロジェクト管理まで一貫して手がけています。

同社の主要顧客は企業の経営・財務部門や不動産プレイヤー(不動産会社、資産運用会社、金融機関、建設会社など)で、収益はコンサルティングの固定報酬や成功報酬、サブスクリプション型のシステム利用料、仲介手数料、賃貸収入、ファンドの運用手数料・配当など多様なポイントから成り立っています。事業構成では、CREソリューションが売上の大半を占め、不動産テックのサブスクリプション収入が成長を支えています(直近での比率はCRE寄りが約9割)。

事業は大きく「CREソリューション」と「不動産テック」の二本立てで展開しています。前者は企業ごとの拠点戦略提案、資産流動化やバランスシートを活用した取得・賃貸といった実務を担い、後者はAIで企業の不動産ニーズを可視化するシステムや事業用不動産のマッチングプラットフォーム、企業向けの情報ポータルなどをサブスクリプションやスポット提供で展開して業務効率化を支援しています。

経営方針

同社は中期経営計画「FY2026–FY2028 ‘A Tech-Driven Platform Strategy’」(2025年10月開始)に沿って、企業不動産(CRE)領域でのプラットフォーマー化を目指しています。ターゲットとするマーケットは民間法人保有の不動産全体で約524兆円、その中でも同社が注力する「コンパクトCRE」市場は約60兆円と見積もられており、まずはここでのプレゼンス拡大により売上高の増大と一定の営業利益率の維持を図る計画です。重要指標として「売上高」「営業利益率」を掲げ、システム利用者数と情報登録数をKPIに設定しています。

同社は差別化の核として、長年蓄積してきたCREに関する経験・資料を不動産テックでデータベース化し、業務のデジタル化で不動産業界特有の非効率や情報の非対称性を解消することを狙っています。具体的には営業支援システム「CCReB AI」、マッチングシステム「CCReB CREMa」、BtoBポータル「CCReB GATEWAY」などを開発・提供し、経験の浅い担当者でも高品質な提案ができる体制を整えています。現在、CRE寄りの事業構成で収益の大半を占める一方、サブスクリプション型のテック収入や月額アドバイザリー収入など固定収入の積み上げにより安定性を高める戦略を取っています。

新規市場開拓と事業拡大では、マッチングプラットフォームを起点にネットワークを広げる方針です。実績としてマッチングシステムのユーザー数は2025年8月期末で502名(前期比54.5%増)、情報登録数は6,867件(同25.4%増)まで伸びており、まずは地方銀行やリース会社など金融機関を中心に利用者基盤を拡大して潜在案件を掘り起こす計画です。事業の成長は戦略的アライアンスやサービス強化、CRE×M&Aなど多角的な施策で支え、ファンド組成や物件の取得・売却に伴う大口収益も取りにいきます。

技術革新への取り組みでは、プラットフォームとデータの一元化を進め、業務工数削減による利益率改善を目指しています。マッチングシステムは2023年9月にサブスクリプション化され、社内向けには2023年12月から提案支援チャットボット「CCChat」を運用して一部生成型AIも活用しています。今後も不動産テックの機能強化やテック関連企業との協業・M&Aに継続投資するとともに、優秀な人材の採用・定着(2025年10月に導入した株式連動型インセンティブ制度等)を進め、技術と人材で模倣困難な競争優位を築くことを同社は目指しています。