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リガク・ホールディングスJP:268A
事業内容
リガク・ホールディングスは、X線技術を核にした理科学機器の開発・製造・販売・サービスを行う企業で、X線回折や蛍光X線分析、X線イメージング(CT)などを用いる分析・計測装置を世界90ヶ国以上に展開しています。 同社はX線発生装置、光学素子、検出器、解析ソフトなどの要素技術を自社で研究開発し、これらを組み合わせた高付加価値機器を提供しています。
主要な顧客は大学や公的研究機関に加え、素材メーカーや製造業、医薬品分野、そして世界的大手の半導体メーカーや半導体製造装置メーカーなどの産業分野で、研究開発や品質管理、製造プロセスのコントロール用途で採用されています。 同社の収益は高額な装置の販売が中心ですが、消耗品・交換部品、保守・修理、アップグレードなどのアフターサービスや要素部品の外販によるストック型収入も重要な比重を占めています。
事業は単一の「理科学機器製造・販売」セグメントの下で、多目的分析機器、半導体プロセス・コントロール機器、部品・サービスの三本柱に分かれています。 多目的分析ではX線回折装置や蛍光X線装置、3次元X線CTなど(例:SmartLab、ZSX Primus IV、CT Lab HX)を扱い、半導体向けには膜厚や組成、形状を測るインライン計測ツール(XTRAIAシリーズ等)を提供しています。 同社はまた、EUV多層膜ミラーなど要素部品の供給や機器の保守サービスを通じて、顧客に長期的なサポートを提供しています。
経営方針
同社は中長期的に「A One-of-a-Kind Global Technology Company」を目指しており、事業成長では市場を上回る成長率を狙っています。具体的には、多目的分析機器分野では市場想定の年平均成長率5.5%(XRD/XRF合計、2023–2027年)を上回る約7%の売上成長を目標とし、半導体プロセス・コントロール事業では市場想定の年平均8.9%(X‑Ray Metrology、2023–2026年)を大きく上回る約18%ないしそれを超える成長を目指しています。2024–2025年にかけては主力の山梨工場の生産能力を2022年比で倍増させる増強投資を実行し、需給に応える供給基盤の整備も進めています。
同社の差別化戦略は、X線発生装置、光学素子、検出器、解析ソフトなどの要素技術を自社で研究・量産化する「要素技術の内製化」にあります。要素部品を自社生産することで製品の高性能化と開発サイクル短縮を実現し、実際にXRDでは国内で2023年に77%のシェア、グローバルで26%のシェア、半導体向けX線計測では同年に約30%のグローバルシェアを獲得しています。加えて外部との選別的なM&Aやパートナーシップを通じて自動化・ロボティクスや人工知能(AI)・機械学習などの新技術を取り込み、製品とサービスでの競争優位性を高めています。
新市場の開拓では「Lab to Fab」戦略を軸に、大学や研究機関での共同開発から産業の製造現場への標準導入を図っています。半導体分野においては光学計測やCD計測分野への応用を目指したハイブリッド計測や、次世代AIチップ向けのアドバンスト・パッケージング検査への参入を計画し、マイクロバンプやTSVの欠陥検査に対応するAI応用の検査アルゴリズム開発と製品化を進めています。海外ではセールス、サービス、人材やラボ、テクノロジーセンターへの投資を強化し、グローバルでの販売シェア拡大を図っています。
技術革新への取り組みは経営の中核であり、同社は約300名の高度なX線技術者(PhD含む)を擁して要素技術への重点投資を継続しています。外部研究機関との共同研究や要素部品の外販も行い、EUV多層膜ミラーなど半導体装置向け部品の供給実績もあります。品質改善やサプライチェーンの多元化、サービス事業の強化(24×7対応のハードウェア保証を含むパッケージ化したサポート)など実運用面の整備も並行して進め、研究開発投資と商業インフラ投資を両輪で回すことで技術の実装と事業化を加速しています。