HmcommJP:265A

時価総額
¥42.7億
PER
49.5倍
音に特化したAI×音のプロダクトとソリューションの事業の有力企業。コンタクトセンター向けVoice Contactや自動応答Terry、議事録ZMEETING、異音検知FAST-Dを展開。2014年8月に産総研技術移転ベンチャー認定取得、2024年8月14日に称号支援終了。日本国内中心に展開。

事業内容

Hmcommは「音」を起点としたAI技術の研究開発から製品化・運用までを自社で一貫して行い、コンタクトセンター向けの音声認識プロダクトや音声自動応答、議事録作成、機器の異音検知といった商用サービスを提供しています。同社は研究成果の社会実装を重視し、生成AIの活用も進めながら製品群を拡張しています。

同社の主要顧客はコンタクトセンターを抱える企業を中心に、通信販売、教育、インフラ、鉄道、畜産など幅広い業種です。収益は「AI×音」単一セグメントで構成され、2024年度はプロダクト事業が約60%、ソリューション事業が約40%を占め、導入時の開発対価やライセンス利用料、サブスクリプション、コンサル・開発契約(準委任)が主な収入源となっています。販売は直接販売が中心(約81%)で、代理店経由(約19%)も活用し大型案件の獲得に努めています。

事業は大きくAIプロダクト事業とAIソリューション事業に分かれ、前者では「Voice Contact」(通話のリアルタイム文字化・FAQ提示・自動要約等)や「Terry」(電話による自動応答で注文受付や本人確認を自動化)、「ZMEETING」(議事録自動作成・リアルタイム翻訳・要約)、「FAST-D」(設備の異音検知)などを提供しています。後者ではプロダクトで培ったAI・BI・CI・DIのノウハウを活かし、生成AIを含むデータ活用やDX推進のコンサルティングと開発支援を行い、顧客課題の解決とプロダクト導入への導線構築を図っています。

経営方針

同社は「AI×音」を核とした成長を目指しており、短中期ではプロダクトラインの拡充と案件獲得の加速を掲げています。2024年度はAIプロダクト事業が約60%、ソリューション事業が約40%の売上構成となっており、同社は2024年に既存取引先との共創で66件の新規プロジェクトを積み上げる計画を実行しました。中期的には現在の4製品を倍の8製品へ拡大し、アカウント数や生成AI売上比率、プロジェクト数、エンジニア人数といったKPIで達成状況を管理し、売上高成長率や経常利益率、ROE、自己資本比率といった財務指標で収益性と安全性を高めることを目指しています。

同社は研究開発から製品化・運用までを自社で一貫して行う点を差別化の中核としています。具体的には通話のリアルタイム文字化や自動要約を行うVoice Contact、電話による自動応答を担うTerry、議事録作成のZMEETING、工場や設備向けの異音検知FAST-Dといった製品群に重点投資を行い、VOC(顧客の声)分析や生成AIによる要約、自動で強い語調を検知してリモート支援につなげる機能など、現場の業務負荷低減に直結する機能開発を進めています。販売チャネルは直接販売が約81%、代理店経由が約19%で、コールセンターBPO事業者との協業も強化し大型案件の獲得を図っています。

新市場の開拓では、鉄道・製造業・電力・不動産管理・畜産など業界横断的な導入を進める計画です。FAST-Dのように設備に「聴覚」を与える異音検知を軸に、実証実験で得た知見を他業界へ横展開し、既存のソリューション事例を活用した業界別の提案で新規取引先のプロジェクト獲得を加速します。加えて展示会出展や事例紹介を通じたプロモーションを強化し、個別の課題解決プロジェクトからプロダクト導入へのクロスセルを拡大することで収益の安定化を図っています。

技術革新への取り組みとしては、音声のテキスト化、感情分析、異音検知、生成AI活用などの研究開発に継続的に投資し、優秀な人材採用と教育を進めています。R&Dは初期フェーズで商品化見込みの課題を選定し、プロジェクトフェーズで顧客課題を集め、社内のコンサル・技術・マーケティングのクロスファンクショナルチームで技術をパッケージ化して新規プロダクト化する一連のプロセスを回しています。情報管理面でもISO/IEC 27001やプライバシーマーク取得など体制整備を進め、安全なデータ収集・モデル作成・本番運用の一気通貫での提供を目指しています。