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ドーンJP:2303
事業内容
ドーンは、地理情報(GIS)を軸にしたソフトウエアとクラウド型サービスを基盤に事業を展開しています。主力は警察・消防・自治体の防災・防犯や社会インフラ保全向けのSaaSで、緊急通報や現場映像の伝送、災害情報共有など位置情報を活用した業務支援サービスを提供しています。
同社の主要顧客は地方自治体や警察・消防本部、電力やインフラ事業者といった官公庁や大手インフラ企業で、受注は直接契約や一般競争入札が多くなっています。売上はクラウドの初期構築費と月額利用料、受託開発・保守の初期開発費と運用保守費、さらにソフトウエアのライセンス料やロイヤリティで構成され、年度ごとの契約更新が基本ですが長期契約も存在します。
同社の事業は情報サービスの単一セグメントで、大きくクラウド(SaaS)、SI(初期開発・保守)、ソフトウエアのライセンス販売に分かれます。具体的な製品・サービス例としてはNET119やLive119の緊急通報・映像通報、DMaCSの災害情報共有、AED GOの救命支援やGeoBaseシリーズのGISエンジンなどがあり、これらを組み合わせて自治体や官公庁の業務を高度化しています。
経営方針
同社は第2次中期経営計画(2026年5月期〜2028年5月期)において、クラウド型サービスの拡大とストック収入の比率向上を通じて安定成長を実現することを目指しています。具体的には売上高を2026年に約17億円、2028年に約18.8億円まで引き上げ、営業利益を2025年の5.74億円から2028年に6.7億円へ改善することを目標としています。合わせて自己資本当期純利益率(ROE)を中期的に10%以上に維持することを掲げ、利益率の確保を重視した成長を志向しています。
同社は重点投資分野として、警察・消防・自治体など公共分野向けの「Gov‑tech」を挙げ、位置情報に強みのあるクラウド型業務支援サービスに差別化の力を集中させています。主力製品であるNET119の全国普及の推進に加え、現場映像を扱うLive119や映像通話のLive‑X、災害情報共有のDMaCSなど、映像や位置情報を組み合わせたサービス群を深化させることで、自治体やインフラ事業者に対する信頼性と実務性で競合優位を築くことを目指しています。
同社は新市場開拓と事業拡大にあたって、既存サービスの全国展開に加え、M&Aや業務提携による機能補完を明確な施策としています。既にエッジ技術を持つ企業との資本業務提携を行っており、今後もAI領域や現場データ処理の知見を有する企業を対象にした連携や買収を通じてサービスラインを拡充していく計画です。また、人材面ではリファーラル採用の強化、採用コンテンツの充実、企業型確定拠出年金の導入、教育や待遇の改善などで開発・運用力を支える人材基盤の強化を進めています。
同社は技術革新を成長の核に位置づけており、端末側での高度な処理を可能にする「エッジAI」とクラウドの組み合わせで新サービスを創出する取り組みを進めています。端末側で映像やセンサー情報を即時に解析し、その結果をクラウドで統合・配信する仕組みを実用化することで、災害対応やインフラ監視の現場での即応性と運用効率を高める狙いです。加えて、技術獲得のための外部提携や買収を戦略的に行い、短期間で実用レベルの技術を取り込む方針です。