PRISM BioLabJP:206A

時価総額
¥64.4億
PER
PepMetics技術を基盤とした創薬の有力企業。細胞内PPI阻害を標的とするPepMetics化合物と臨床候補E7386、PRI-724を展開。エーザイとの共同創製でE7386が2021年11月にPOC達成、PRI-724を2018年に大原薬品へ導出。日本・米国・欧州で展開。

事業内容

PRISM BioLabは、独自の「PepMetics」技術を用いて、従来は創薬が難しかった細胞内のタンパク質間相互作用を標的にする低分子の新薬探索・開発を行うバイオベンチャーです。同社は立体的な化合物ライブラリーの設計・合成と評価機能、さらにAIを活用した予測技術を組み合わせて、標的に結合する候補化合物の創出と最適化を進めています。

同社は国内外の大手製薬会社と共同研究や導出契約を結び、資金を得るビジネスモデルを展開しています。収益は契約時の一時金、共同研究収入、開発の節目ごとのマイルストン、そして上市後のロイヤリティが中心で、自社開発は高リスク・高リターン、共同開発は低投資で早期収益化しやすいというバランスで収益機会を確保しています。

事業は主に自社で標的を選び進める自社開発と、製薬会社の標的に同社技術を適用する共同開発の二本柱で構成されています。パイプラインとしては、共同研究先へ導出した薬候補が臨床試験段階にある例(エーザイに導出した化合物など)や、線維症やがんを念頭に置いた自社プログラムを並行して進めており、継続的な契約獲得と臨床進捗で企業価値の向上を目指しています。

経営方針

同社は独自のPepMetics技術を軸に、従来は創薬が難しかった標的を「創薬可能」に変えることで事業成長を図っています。事業モデルは自社での高リスク・高リターンの自社開発と、外部製薬企業への技術提供や導出契約による早期収益化の両輪で、現在は自社プログラムが3件進行中であり、毎年新規プログラムを1件開始する方針を掲げています。将来的な売上目標はプログラムの臨床進捗に依存するため固定的な数値目標は設定していませんが、現金及び預金残高は4,392,022千円(約44億円)で、臨床段階の進捗に応じた段階的な収入を織り込みながら早期の製品上市と継続的な収益基盤の構築を目指しています。

重点投資分野はPepMeticsを用いた化合物ライブラリーの設計・合成とそれを評価する機能、さらに人工知能を活用した予測技術の強化です。これらを組み合わせることで、細胞内のタンパク質同士の結合を狙う低分子候補を効率的に創出し、競合との差別化を図っています。同社は既に複数の導出契約を締結しており、これら契約からの節目ごとの支払いが収益源となっているため、技術の有用性を実証して業界でのリーダーシップを維持することを重視しています。

新市場の開拓と事業拡大に関しては、国内外の製薬企業との共同研究・導出契約を積極的に拡大する計画です。具体的には、導出先と密に連携して臨床試験の進捗管理や助言を行うステアリング委員会を活用し、マイルストーン獲得の確度を高める取り組みを続けています。同社は毎年の新規プログラム創出と契約数の積み上げによって、単発の成功に依存しない継続的な収益機会を拡大することを目指しています。

技術革新への取り組みでは、創薬基盤の価値向上を目的に研究開発投資と人材育成を並行して進めています。研究資源は成功確度の高いプログラムに優先的に配分し、想定外の課題が生じた場合は速やかに中止して資源を再配分することでパイプラインの最適化を図っています。加えて、人工知能を含む解析手法の高度化や評価系の整備により、臨床候補化合物の創出スピードと品質を向上させ、長期的には導出契約の増加と自社製品の上市による収益拡大を目指しています。