Chordia TherapeuticsJP:190A

時価総額
¥70.9億
PER
-3.6倍
ファーストインクラスの抗がん薬創薬を行う創薬ベンチャーの最大手。RNA制御ストレスを標的とする低分子パイプライン(rogocekib等)を展開。武田薬品とのライセンス契約や2025年4月の小野薬品からの権利回収。国内第1相で2023年8月に60例登録、米国第1/2相は2025年8月時点で36人投与実績。

事業内容

Chordia Therapeuticsは、新しい作用を持つ低分子抗がん薬の研究開発を行う創薬ベンチャーです。同社はがん細胞の「RNA制御ストレス」を標的にしたファーストインクラスの薬剤創出に注力しており、臨床段階の候補薬としてrogocekib(CLK阻害薬、CTX-712)やMALT1阻害薬(CTX-177)などを進めています。

主要な顧客は大手製薬会社や開発パートナーで、同社はこれらの企業と共同研究やライセンス契約を結ぶことで収益を上げるビジネスモデルです。同社の収入は契約一時金、開発や販売のマイルストン、将来的なロイヤリティが中心で、当面は提携を通じた収入を想定しています。

事業は臨床パイプラインと前臨床パイプラインに分かれており、臨床段階ではrogocekibとCTX-177、前臨床ではCDK12阻害薬のCTX-439やGCN2阻害薬など合計で五つのパイプラインを保有しています。同社は製造や販売の多くを外部パートナーに委託しつつ、大学や公的機関、製薬企業と連携して開発を加速し、第2相で価値が高まったタイミングで国外販売権のライセンス交渉を行う戦略を取っています。

経営方針

Chordia Therapeuticsは「2030年に日本発の研究開発型製薬会社へ成長する」というビジョンを掲げ、早期の新薬実用化を成長目標に据えています。同社はROAやROEなどの財務指標を目標にせず、パイプラインの進捗を経営の最重要指標と位置づけています。具体的には、リード候補のrogocekibについて国内第Ⅰ相での患者登録を2023年8月に完了し、2023年には米国での第Ⅰ/Ⅱ相試験を開始しており、現行の臨床戦略では国内外の指定制度を活用することを前提に「2028年後期の承認申請」を目指しています。一方で創薬ベンチャー特有の多額の研究開発費により営業損失と営業キャッシュ・フローのマイナスが続いており、開発資金の安定確保が当面の課題です。

重点投資分野は低分子のファーストインクラス抗がん薬で、特にがん細胞の「RNA制御ストレス」を標的とする薬剤群に注力しています。同社は臨床段階のrogocekib(CLK阻害薬)やMALT1阻害薬のCTX-177を中心に研究開発リソースを配分しており、前臨床ではCTX-439やGCN2阻害薬などを保有して合計で五つのパイプラインを展開しています。差別化戦略としては独自の作用機序による「既存治療と異なる有用性」の実証を目指すと同時に、製造・販売は外部パートナーに委託し、大学や公的機関からの助成金(AMED等)を活用することで資源を効率的に投入しています。

新市場開拓と事業拡大では、国内だけでなく米国や欧州を含むグローバル承認取得と大手製薬企業とのライセンス契約による商業化を想定しています。収益モデルは提携による契約一時金、開発・販売のマイルストーン、将来的なロイヤリティが中心で、国内での自社販売も選択肢として検討中です。既に株式会社メディパルホールディングスやシオノギファーマとの業務提携・協業に関する基本合意を交わしているほか、CTX-177については小野薬品との契約終了に伴い全世界の権利を保持しており、新たなライセンス先の獲得を積極的に進めています。必要に応じて事業会社との提携や株式発行による資金調達も行い、財務基盤の強化を図る計画です。

技術革新への取り組みとしては、最先端の科学へのアクセス維持と外部との連携を重視しています。アカデミアとの共同研究、公的助成金の活用、外部委託による効率的な開発体制により研究速度を高めるとともに、創薬技術の進展(AIや計算技術の応用など)を注視して探索・設計プロセスへの導入を検討しています。また、優秀な研究者や管理人材の獲得・育成を進め、研究開発体制と内部管理体制を段階的に強化することで、パイプラインの成功確率と事業の持続性を高める方針です。