第一カッター興業JP:1716

時価総額
¥166.4億
PER
12.1倍
切断・穿孔工事とビルメンテナンスの有力企業。工業用ダイヤモンド工法とウォータージェット、グルービングマシンやコア特装車による特殊施工を展開。前連結会計年度にムーバブルトレードネットワークスの一部株式譲渡で持分法適用会社化。連結子会社4社、持分法関連会社2社を有し国内主要地域で展開。

事業内容

第一カッター興業は、道路や橋梁などの各種舗装やコンクリート構造物の切断・穿孔工事と、集合住宅やオフィスビルの給排水・清掃などのビルメンテナンスを主力とする企業です。同社は工業用ダイヤモンドを使うダイヤモンド工法と水圧を使うウォータージェット工法を中心に、高精度な切断・穿孔サービスを提供しています。

主要な得意先は総合建設業者、道路建設業者、設備業者といった民間企業で、受注形態は下請けによる施工が中心です。同社の収益は公共事業に伴う工事が大半を占める一方で、化学工場や発電所などのメンテナンス案件でも安定した売上を確保しています。

事業は切断・穿孔工事とビルメンテナンスの二本柱で、前者は土木(橋梁・港湾・ダム)、建築(解体・耐震・改修)、都市土木(鉄道・上下水道・廃棄物施設)、道路・空港工事、生産設備メンテナンスといった用途に対応しています。同社は地域ごとにグループ会社を配置して全国で施工体制を整え、特殊環境下の作業や無火気施工など現場条件に合わせた工法で対応しています。

経営方針

同社は長期的に「業界ナンバーワン企業としての地位を堅持し、安定的に成長すること」を目指しています。具体的には品質・安全・工程管理と研究開発を強化し、施工技術の向上で差別化を図ることで市場競争力を高め、安定した売上基盤を確保する方針です。受注環境の変動を踏まえ、高速道路や鉄道といった景気変動の影響を受けにくい輸送インフラや、化学工場・発電所などの産業インフラを重点ターゲットにして計画的な案件獲得を進めています。

重点投資分野としては、切断・穿孔工事の技術力強化とビルメンテナンス事業のエリア拡大を挙げています。研究開発や熟練技術の可視化、人材育成の効率化に投資し、設備投資を通じて既存事業の優位性を高める施策を進めています。また、ダイヤモンドを用いる切断法や水圧を用いる工法など、騒音や粉じんを抑える工法を積極的に活用し、環境配慮を打ち出すことで公共・民間の両市場での競争力を強めています。

新市場開拓では、エネルギー関連や水中施工といった成長分野への提案を強化し、西日本エリアへの投資を積極化して事業領域を拡張する計画です。予防保全や付加価値を生む新技術を基盤に新規事業を探索し、施工体制の強化のために作業員増員や協力会社ネットワークの構築を進めることで、安定した受注と収益の確保を狙っています。ビルメンテナンスはエリア拡大と人員増で新規顧客を獲得する方針です。

技術革新への取り組みでは、熟練者のノウハウをデータ化して共有する仕組みや、研究開発とデジタル化(DX)を組み合わせた生産性向上を進めています。加えて、過去の不正事案を踏まえコンプライアンスとガバナンスの強化にも注力しており、子会社統括部署の設置や外部から管理本部長を招聘して内部統制を見直すなど再発防止策を推進しています。同社はこれらの施策により技術・組織・ガバナンスの三点で競争力を高めることを目指しています。