JSHJP:150A

時価総額
¥23.5億
PER
-12.1倍
在宅医療・地方創生事業の有力企業。精神科訪問看護、障がい者雇用支援の水耕農園や民泊・旅行代理事業を展開。2019年11月に連結子会社4社を吸収合併。東京・大阪・北海道・九州中心に訪問看護ステーション27拠点を展開(2025年4月時点)。

事業内容

JSHは、精神疾患を主な対象とした訪問看護を軸に、地方での障がい者雇用支援や観光物産事業を展開する企業です。主力サービスは訪問看護ステーション「コルディアーレ」による在宅医療と、地方に開設した屋内農園や水耕栽培設備を活用した障がい者の就労支援です。

同社の主要な顧客は、在宅医療では保険給付を受ける利用者とそれを支払う公的保険団体や医療機関で、売上の大部分は診療報酬による収入で構成されています。地方創生側は、企業の障がい者雇用を支援する導入時のスポット収入と、農園利用料や定着支援などの月額リカーリング収入が安定した収益源になっています。

事業は大きく「地方創生事業」と「在宅医療事業」に分かれ、地方創生は①障がい者雇用支援(農園運営、人材紹介、水耕栽培設備のレンタル・定着支援)と②観光物産(旅行代理、民泊、地場産品の販売)で構成されています。 在宅医療は精神科訪問看護と医療機関向けコンサルティングが中心で、全国に訪問看護ステーションを展開し、両事業間で利用者や医療機関との相互紹介によるシナジーを図っています。

経営方針

同社は在宅医療(精神科を中心とした訪問看護)と地方創生(障がい者雇用支援・観光物産)の二本柱で持続的な成長を図っています。政策面では民間企業の障がい者法定雇用率の引き上げ(2024年4月に2.5%、2026年7月に2.7%)や精神疾患患者数の増加(約603万人)といった追い風があり、これを受けてサービス利用企業数の拡大・一企業当たりの雇用人数増加、ならびに訪問看護ステーションの拠点整備による利用者増加を目標としています。現状、訪問看護ステーションは26拠点を運営しており、全国の訪問看護事業所数(約17,329箇所)と比較しても成長余地が大きいと見ています。

重点投資分野は障がい者の就労支援を行う屋内農園や水耕栽培設備、そして在宅医療の拠点整備と人材育成です。農園では水耕栽培設備を導入して安全で安定した作業環境を提供すると同時に、同社が有する在宅医療のノウハウを活かして精神疾患を抱える利用者の定着支援や職業能力向上を図ります。企業側には障害者雇用促進法に沿った職業能力開発の支援や合理的配慮の提供を行い、農園利用料や定着支援の月額収入を安定的な収益源に育てることで差別化を図っています。

新市場開拓と事業拡大は、医療機関との連携強化と地域拠点ポートフォリオの最適化で進められます。医療機関との関係構築により患者紹介を増やし、訪問診療と連携した訪問看護の提供体制を整備することが主要施策です。農園の新規開設は候補地における障がい者の保有手帳数や交通の利便性を勘案して進め、農園近接での訪問看護ステーション設置も継続しており、観光物産分野では民泊受け入れ家庭の拡大や体験プログラムの開発でインバウンドと修学旅行需要の回復を取り込みます。

技術革新については、栽培設備の導入による生産性向上と安全性確保をベースに、訪問看護の効率化には拠点配置の見直しと情報連携のデジタル化を推進しています。具体的には主治医と看護師の連絡・記録の電子化や訪問ルートの短縮化による移動時間削減、社内外の研修充実によるノウハウ共有を実施しており、人材確保と定着を支えるための待遇改善や福利厚生整備も並行して行っています。財務面では内部留保の確保と機動的な資金調達の両立を図りつつ、事業拡大に必要な投資を優先的に配分していく方針です。