カネコ種苗JP:1376

時価総額
¥190億
PER
12倍
種苗の生産・販売、造園・法面工事、温室・養液栽培プラントの設計施工の有力企業。自社開発の野菜・牧草種子、ウイルスフリー苗、化学大手と共同開発の被覆肥料「ベストマッチ」を展開。子会社2社を擁する。全国ネットとフィリピン・タイでの展開、群馬県中心の施工体制。

事業内容

カネコ種苗は種苗の生産・販売を主力とする企業です。同社は野菜種子や牧草種子、ウイルスフリーの苗や種イモの生産・販売に加え、造園・法面工事の請負や花き園芸用品、農薬・被覆肥料、農業資材の販売、養液栽培プラントや温室の設計・施工を行っています。

主要な顧客は家庭園芸の消費者向け小売店(ホームセンターや園芸店)と営利栽培農家、畜産向けの飼料種子を求める事業者、さらに地方の公共工事や造園業者などです。売上は種苗販売が中心で、花き・農材の販売や施設の設計・施工の受注、海外子会社を通じた輸出が収益に寄与しています。

事業は大きく種苗、花き、農材、施設材の4部門に分かれます。種苗事業では自社開発の野菜品種や牧草種子、ウイルスフリー苗・種イモを扱い、花き事業は家庭園芸向け商品と営利生産者向け品種の販売を行っています。農材事業は農薬や被覆肥料「ベストマッチ」を中心に、施設材事業では農業資材の販売と養液栽培プラントや温室の設計・施工、栽培指導まで手掛けています。

経営方針

同社は「ハイテクと国際化」を基本方針に掲げ、新中期経営計画(2026年5月期より開始)を通じて研究開発とグローバル展開を進め、イノベーションで新たな価値創出を目指しています。事業は種苗、花き、農材、施設材の4部門を柱としており、種苗販売を中心に国内外での収益拡大と安定供給の両立を図る経営戦略を掲げています。国内の食料安全保障や海外で高まる食料需要と気候変動リスクに対応することが成長の要点です。

同社は重点投資分野として品種改良と生産基盤の強化を挙げています。具体的には収量性や耐病性、高発芽性を備えた野菜品種や、飼料作物・緑肥作物の品種開発に注力し、ウイルスフリー苗や種イモの生産体制を整備しています。また、採種地を気候の異なる複数地域に分散することで自然災害リスクを低減し、品質向上のための設備投資を継続して行っています。これにより、園芸分野では付加価値の高い品種で競争優位を保っており、同社の花き品種はフラワー・オブ・ザ・イヤーを2年連続で獲得するなど高評価を得ています。

新市場開拓では国内外で戦略を使い分けています。国内では輸入依存の軽減に向け、飼料種子や省力化につながる品種の普及を進めるとともに、家庭園芸向けはEコマースやホームセンター経由の販売チャネルを強化して需要を取り込みます。海外では東南アジア・南アジア向けの野菜、東アジア・東南アジアや南米を対象とした飼料・花き分野を重点市場とし、現地ニーズに合わせた品種導入と海外子会社を通じた販路拡大を図っています。また、地域の循環型ビジネスとして廃食油や廃プラスチックの利活用など新たな事業連携も模索しています。

技術革新への取り組みとして、同社は育種技術と現場技術の両面で投資を続けています。植物育種や品質管理の高度化に加え、ドローンを用いたピンポイント薬剤散布や大型温室での遮熱剤散布などスマート農業の実装を進め、省力化と環境負荷低減を両立させる技術導入を進めています。さらに、生分解性資材や暖房燃料の再資源化といった環境対応技術を他業種と連携して開発し、持続可能な農業と安定的な種子供給の実現を目指しています。