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名港海運JP:9357
事業内容
名港海運は、港湾での荷役を中心に倉庫保管や陸上輸送、国際輸送などの物流サービスを手掛ける企業グループで、複数の子会社や関連会社を通じて総合的な港湾運送事業を展開しています。 同社は港での荷物の積み卸しや保管、国内外への輸送手配を中核業務としています。
同社の主要顧客は輸出入を行うメーカーや商社、卸売業、海運会社などで、荷役や保管、輸送に対する手数料や運賃が主な収益源です。 また施設の賃貸や代理店業務による収入もあり、グループ内で業務を分担して一部を下請けに出すことで効率化を図っています。
事業は大きく港湾運送、倉庫保管、陸上輸送、貨物利用運送・海運代理、航空貨物・国際複合輸送、賃貸の六分野に分かれています。 同社は岸壁での荷役作業や倉庫での一時保管、トラックによる配送、輸送手配や船舶代理、空港を使った国際輸送まで幅広く取り扱い、顧客の物流ニーズに応じて一貫して対応しています。
経営方針
同社は中期経営計画「MX2029」(2025〜2029年度)に基づき、2029年度を目標年として売上高900億円、営業利益70億円の達成を目指しています。かつて掲げていた「売上高経常利益率8%以上」も踏まえつつ、配当性向40%またはDOE(株主資本配当率)2%のいずれか高い方を株主還元の目安とするなど、成長と収益性、株主還元のバランスを取る方針です。これらの数値目標を達成するために、収益性の高い事業への選択と集中を進めます。
同社は倉庫群(名古屋港を中心に71万㎡超)や岸壁での荷役能力、危険物や定温、医薬品対応など多機能な倉庫設備を重点投資分野と位置付けています。具体的には重量物対応倉庫や定温設備の増強、ICTを活用した入出庫管理や追跡システムの導入によって顧客に時間どおりで安全なサービスを提供し、海・陸・空を一貫して扱える点で差別化を図っています。これにより、メーカーや商社向けの付加価値の高い物流案件を取り込み、手数料・運賃収入の拡大を狙います。
同社は海外展開を成長の柱と位置づけ、米国、メキシコ、欧州(ベルギー、ドイツ、ポーランド)、東南アジアや中国、インドなどに既に拠点を置いており、これらのネットワークを活用して新市場開拓と事業拡大を推進しています。具体的施策としては現地での倉庫・フォワーディング機能強化、通関や陸上輸送の一体提供、そして国内外での顧客獲得を通じた取扱量の増加を目指します。設備投資は保有資産の最適化や政策保有株の売却、外部借入を活用して資金を確保し、成長投資に充てる計画です。
同社は技術革新にも積極的に取り組んでおり、ICT(情報通信技術)による運行・在庫管理の高度化や倉庫の自動化、省力化機器の導入を進めています。人手不足やエネルギー価格の変動といった業界課題に対しては、入出庫の自動化、遠隔監視、データ連携による作業効率化で対応し、稼働率と資本効率の向上を図る方針です。これらの技術投資により、安全性とサービスの迅速性を高め、競争力の源泉とすることを目指しています。