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キャスターJP:9331
事業内容
株式会社キャスターは、リモートワーカーのリソースを活用して企業のバックオフィス業務を代行・支援するBPaaS事業を中核に、派遣・紹介やEC向けツール開発、生成AIを活用したプロダクト開発などを展開しています。同社は自社の業務ツールとAIを組み合わせ、業務設計から実行・改善までを一気通貫で支援するサービスを提供しています。
主要な顧客は人的リソースや業務負担の軽減を求める中小企業や個人事業主、EC事業者などで、少額からの利用ニーズが強い顧客層が多くなっています。収益は時間単位や月額契約を軸にしたストック型収入が中心で、派遣・コンサルティングやツール販売といった手数料収入を組み合わせて獲得しています。
事業は大きくBPaaS事業とその他事業に分かれており、BPaaS事業ではCASTER BIZシリーズ(秘書・経理・人事などの業務代行)、My Assistant(短時間・低額のマイクロロットプラン)、NEO assistant(人とAIのハイブリッド支援)などを展開しています。同社のその他事業では在宅派遣や求人サイト「Reworker」、EC運用代行や業務効率化ツール、リモート人材の育成スクールや生成AIを使ったプロダクト開発を手掛けています。
経営方針
同社は2026年8月期から2028年8月期を対象とする中期経営計画を掲げ、収益性を高めながら事業基盤を強化することで、2028年8月期に親会社株主に帰属する当期純利益2億円の達成を目指しています。実績ベースでは売上高は2021年約22億円から2025年には約45.9億円(連結、単位:千円表記を換算)へと拡大しており、コアのBPaaS事業が2025年に約35.7億円を占める構成になっています。こうした数値を踏まえ、同社は安定した定常収入の拡大と収益率の改善を並行して進める計画です。
同社は投資の重点をBPaaS事業とAIを核とした「AI Tech事業」に置いています。BPaaSではバックオフィス代行サービスの標準化と運用効率化に資本を投じ、マイクロロット(短時間・低額)ニーズに応えることで中小企業や個人事業主の獲得を狙います。一方でAI技術は業務の自動化や付加価値向上に直結するため、社内の業務マッチングやディレクションの自動化、AIを組み込んだプロダクト開発に集中投資します。差別化要因としては、固定費を抑えるフルリモート運営(従業員の98.5%がリモート勤務)と独自に構築した人材管理・業務運用の基盤により、低コストで小規模案件にも対応できる点を打ち出しています。
新市場開拓と事業拡大については、報告セグメントを2026年から「BPaaS」「HR」「AI Tech」の三本柱へ再編し、BPaaSで安定収益を確保しつつAI Techで新たな市場を創出する戦略です。具体策としては、サービス導入企業数の拡大(2025年8月時点で稼働社数は1,316社、累計導入企業数は約5,800社)を基盤に、広告費配分の見直しやマーケティング効率化でCAC(顧客獲得コスト、2025年は約39万円)と回収期間(約3.9ヶ月)の改善を図ります。また必要に応じたM&Aや新サービス投入でセグメント間の補完を進め、HR事業は利益確保に重点を置きつつ再編も検討する方針です。
技術革新への取り組みでは「AI FIRST」を掲げ、生成AIをはじめとする技術を業務設計から実行・改善まで組み込むことで生産性を引き上げることを目指しています。実務面では、キャスティング業務の自動化やコミュニケーション・ディレクション領域へのAI組み込みを進め、MRR(継続月次売上)は約3.3億円の規模を維持しつつ粗利改善へ繋げます。加えて情報管理面ではデータ保護責任者の配置、ISMS取得やプライバシーマーク取得など具体的な体制整備を推進し、顧客データを安全に扱いながらAIプロダクトによる業務構造改革を実装していく計画です。