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三協立山JP:5932
事業内容
三協立山は、建材や金属素材を中心に製造・販売する総合メーカーです。同社はビルや住宅向けの建材、外装(エクステリア)製品に加え、アルミニウムやマグネシウムを用いた鋳造・押出・加工製品を手掛けています。
主要顧客は建設会社や住宅メーカー、流通・小売業の店舗運営者および製造業で、製品販売に加え施工やメンテナンスが収益の柱になっています。同社は国内販売と受注生産に加え、海外拠点での販売も売上を支えています。
事業は建材事業、マテリアル事業、商業施設事業、国際事業の四つに分かれています。建材事業はビル・住宅向け資材や外装製品を扱い、マテリアル事業はアルミニウムやマグネシウムの鋳造・押出・加工を担い、商業施設事業は店舗用什器や看板の製造と維持管理、国際事業は海外での生産と販売を行っています。
経営方針
同社は長期ビジョン「VISION2030」に基づき、建材一辺倒の事業構成からの脱却と持続的な成長を目指しています。中期経営計画(2025〜2027年)では初年度に売上高3,600億円、営業利益40億円を目標に掲げましたが、直近実績は売上3,594億円、営業利益15億円と利益面での課題を認識しています。このため同社は早期の業績回復を優先し、構造改革で収益基盤を立て直す一方、2030年5月期に自己資本利益率(ROE)6%以上を目指すことを公表しています。株主還元については1株当たり25円を下限とする安定配当方針を継続しています。
成長投資の重点はマテリアル事業と自動車分野、そして建材の高付加価値化にあります。具体的には電気自動車向けの押出機や加工ラインの導入、合金鋳造から押出・加工までの一貫生産体制の強化、タイを中心とした海外生産能力の増強などを進めています。競合との差別化は、手すりや自然換気商品などでの高い技術力と業界トップ級のブランド力、全国の代理店・施工店ネットワークと24時間365日のメンテナンス体制といった「製品+施工・サービス」の提供で図っています。
新市場の開拓では国際展開と新規事業創出の両面を強めています。欧州・中国・タイにある拠点を活用してグローバルに高付加価値製品を展開する一方、ASEANでの販売拡大や非住居木造物件の獲得、クラウドを使った商業施設向けサービスへの展開を検討しています。また植物工場事業では業界トップ級の生産能力と栽培ノウハウを軸に、プラントの設計・衛生管理・販路紹介まで含めた支援を行い、新たな収益源の創出を図っています。
技術革新について同社は研究開発と生産の省力化、資源循環の両面で投資を進めています。次世代サッシの生産体制確立や省人化を目的とした自動化設備の導入、アルミリサイクル技術の確立といった取り組みを進めることで製造コスト低減と環境配慮を両立させようとしています。加えてオープンイノベーションを強化し異業種と連携することで、植物工場など成長分野の事業化スピードを高め、企業価値向上につなげる方針です。