SOLIZE HoldingsJP:5871

時価総額
¥92.9億
PER
1647.9倍
デジタルものづくりの製品開発エンジニアリング分野の有力企業。設計・解析・MBDのエンジニアリングサービス、3Dプリンティングによる試作・最終部品製造、AI搭載SaaSを展開。2016年5月にCSMグループ買収。日本・米国・中国・インド・欧州に展開。

事業内容

SOLIZE Holdingsは、3D技術やデジタル技術を活用して製品開発を支援するグローバルなエンジニアリングパートナーです。同社は設計・解析・制御・ソフトウエア開発やサイバーセキュリティ対応などのデザイン領域と、自社保有の3Dプリンターを用いた試作や少量多品種の最終部品製造、装置販売・保守を主力サービスとして展開しています。

主要顧客は自動車メーカーや部品メーカーを中心とする製造業で、航空機や建設機械、医療機器など幅広い業界にもサービスを提供しています。収益構造は従来の装置投資型から、エンジニアによるオンサイト/オフサイトの開発支援やコンサルティング、SaaS型のAI製品など人と知識を軸にしたサービス主体へとシフトしています。

事業は大きく「デザイン事業」と「マニュファクチュアリング事業」に分かれ、デザイン事業では設計・スタイリング、解析・シミュレーション、Model Based Developmentやソフトウエア、デジタルリスク対策、XRコンテンツなどを組み合わせたエンジニアリングと変革コンサルティングを行っています。コンサル側ではSpectAシリーズなどのAI搭載SaaSや3次元データ管理製品の導入支援も提供し、マニュファクチュアリングでは樹脂・金属の3D造形で試験モデルから量産に近い最終部品まで一貫して対応するとともに、装置・材料の販売・保守やAM導入支援のワンストップサービスを担っています。

経営方針

同社は「デジタルものづくり」を中核に、2025年から始まる第2フェーズで企業の変容を加速し、2027年に売上高400億円、2033年に売上高1,000億円の達成を目指しています。成長手段としては既存事業の深耕に加え、M&Aやスタートアップ投資を積極的に活用する方針で、2024年6月にグループ投資戦略部を新設して買収や資本提携の意思決定と実行を迅速化しています。合わせて持株会社体制への移行や事業の分社化(ソフトウエア事業を2025年1月に分社化、他中核事業を2025年7月に分社化予定)により、資源配分とガバナンスの最適化を図っています。

重点投資分野は設計支援などの「デザイン事業」と、自社3Dプリンターを使った製造を担う「マニュファクチュアリング事業」の両輪です。具体的には、設計・解析・制御・ソフトウエアやサイバー対応を組み合わせたエンジニアリングと、試作から少量多品種の最終部品まで対応する積層造形の生産体制強化を進めています。差別化策としては、エンジニアの現場支援と変革コンサルティングを同時に提供する「開発パートナー兼変革パートナー」モデルを掲げ、研究開発部門と事業開発部門を整備して新技術の実装につなげる投資配分を明確にしています。人的投資としては人材採用を強化し、2027年までに年間で500名の採用体制を整備する計画です。

新市場の開拓と事業拡大では、海外展開の強化を打ち出しており、既存の米国・中国・インド・欧州に加え、北米市場拡張のためのカナダ法人や、成長著しいアジア市場向けのタイ法人を設立しています。加えて金属を含む最新の3Dプリンター設備を増設し、大和工場の増床や生産拠点の集約で生産能力を引き上げているため、試作中心から少量量産の受注拡大への転換を狙っています。事業拡大の手段としてはインハウスでの技術獲得に加え、買収や出資を通じたインオーガニック成長を並行して進める方針です。

技術革新への取り組みとしては、3Dプリンターを軸に積層造形の上流から製品化までのエンジニアリング体制を強化し、品質担保された最終部品の供給を目指しています。ソフトウエア面では定額サービス型の分析・支援ツールや3次元データ管理の導入支援を進めるとともに、モデルベース開発やサイバー対策といった先端ニーズに対応する技術投資を継続しています。投資判断は取締役会や戦略会議での審査を経て実行し、投資後も進捗確認を行う体制を整備しており、同社はこれらの施策で長期的な競争力向上を図ることを目指しています。